お受験シーズンが終わりに近づいてきたなか、就学前(3~6歳)の子育てに悩む親に対して、幼児期における遊びの重要性を啓発・アドバイスしている「プレイフルラーニング~幼児の『遊びと学び』プロジェクト」がこのほど、研究結果を発表した。
20代の社会人の子供を持つ全国の親1040人を対象に調査したところ、難関大学(旧帝大や早慶上智・MARCHなど)や難関資格(弁護士、司法書士、公認会計士、医師、1級建築士など)、難関職などのいわゆる“難関”を突破した子供を持つ親と、それ以外の子供を持つ親を比較した際に、子供の幼児期の遊ばせ方に大きな差異が見られたという。
「就学前の子育てで意識して取り組んだこと」として差がついたのは以下の通りだ。
「思いっきり遊ばせること」「遊びの時間を子供と共に過ごすこと」「子供の趣味や好きなことに集中して取り組ませること」。さらに「毎日一緒にしていたこと」で両者の差が大きかったのは「一緒に遊ぶ」「絵本の読み聞かせをする」だった。
また、難関突破経験者は「遊びに対する子供の自発性を大事にした」「子供の思いや意欲を大切にして遊ばせるようにした」という。
お茶の水女子大学の内田伸子教授は「子供は五感を使うことで脳が発達するため、ちゃんと遊んでいないような子供は“9歳の壁”に突き当たりやすいのです」と指摘。“9歳の壁”とは、9歳の時期に学習内容が具体的なものから抽象的なものへと変わり、目で見て分かるようなものから、文章問題や分数など思考力が求められるようになるため、この時期に勉強が分からなくなる子供が増えることだ。
「世界的にも就学前の遊びに対する研究が進められ、関心が高まっています。就学前の遊びを通じて身に付けた集中力などが、就学後の学習意欲を育み、難関突破経験につながったものと考えられます」と同教授。
集中力や好奇心、自分で考える力を養ううえで、遊びは大事なのだ。