米側の日本専門家やその他の学者、ジャーナリストなどの間では確かに反対論が多い。中国共産党と同様に安倍首相を軍国主義者と断じる米国の専門家たちさえ存在する。
そんな安倍叩きを展開したメディアの1つが、ワシントンで民主党系のジャーナリスト、クリス・ネルソン氏が発信するアジア関連専門のオンライン・ニュースレター「ネルソン・レポート」だった。
ネルソン・レポートでは安倍首相の参拝の直後からその行為を非難する意見や投稿が次々に紹介された。
安倍参拝を批判した人たちには、経済戦略研究所所長のクライド・プレストウィッツ氏、国際戦略研究センター(CSIS)研究員のブラッド・グロサーマン氏、コネチカット大学教授のアレクシス・ダデン氏、外交評議会研究員のシーラ・スミス氏、ハーバード大学名誉教授のエズラ・ボーゲル氏、元米国通商代表部交渉官のバイロン・シゲル氏などが含まれていた。
こうした人たちは大多数が政治的には民主党系リベラルで、中国の現在の人権弾圧や軍事挑発を批判することは少ない。だが安倍首相が代表する日本の現実主義派、保守派には不思議なほど厳しい論調を浴びせる。特に靖国参拝がからむと声高になる。今回も靖国を参拝した安倍首相の行動を徹底して糾弾し、ダデン氏などは安倍氏を「Thug(悪党、暴漢)」とか「Hooligan(ならず者)」とまでののしっていた。
安倍首相の声明を解説するメア氏
しかし同時にネルソン・レポートは、安倍首相の靖国参拝に理解を示し、感情的な安倍叩きを抑えるケビン・メア氏の意見も詳しく紹介していた。全体としてバランスを取ろうとする編集者の努力と言えようか。