【東京都知事選と原発の廃棄物処分】核のゴミ、議論深まらず 政府は小泉氏警戒
▽弱点
「10万年後も放射能の危険がなくならないゴミの捨て場所が決まっていない」。小泉氏は細川護熙元首相の応援演説で、核のゴミが増えるとして再稼働を批判。脱原発に絞って訴えている。
原発の使用済み核燃料の再処理でできる核のゴミの高レベル放射性廃棄物は「ガラス固化体」として、青森県六ケ所村に2013年末時点で1788本を保管。使用済み燃料も13年3月末で、各原発の敷地内に計約1万4千トンあり、安全性への懸念が強い。
02年以降、電力会社などでつくる原子力発電環境整備機構が高レベル放射性廃棄物の最終処分地を探しているが、唯一、文献調査に応募した高知県東洋町も、処分場を争点にした町長選で現職が敗れたことから撤回。十数自治体が水面下で関心を示したが、具体化していない。小泉氏の主張は、原子力政策の「弱点」を突いた形だ。
▽消費地
核のゴミをめぐり、14基の原発を抱える福井県は、電力消費地での使用済み燃料の貯蔵受け入れを要求。遠隔地の原発の電力供給に頼ってきた東京など消費地の負担も原発問題の大きな論点だ。
都知事選の候補者も「(東京も)応分の責任がある」(細川氏)、「足を向けて寝てはいけない」(舛添要一元厚生労働相)などと立地地域に配慮。宇都宮健児前日弁連会長も「(核のゴミの)処理を原発のコストにほとんど入れていない」と問題視する。
しかし都民の負担となる廃棄物の処分場受け入れなど不人気な施策を正面から打ち出すと、票が逃げかねず、議論は活性化していない。
▽離島
「希望が見える提示だ」。1月28日の自民党の会合で、火山学の専門家の説明に議員の一人がうなった。専門家は、火山活動や地殻変動の影響が少ない地中深くに廃棄物を処分できる場所が国内にあると指摘。日本最東端の東京都・南鳥島が含まれていたためだ。
処分場受け入れは住民の激しい抵抗が予想されるが、電力消費地の自治体に属し、定住者がいない離島であれば「反対する理由がない」(関係省庁幹部)と関心を示す。
ただ離島での処分施設の設置や安全管理は未知数で、環境への影響も懸念される。実現性は見えず、離島への期待は、処分地を決められない焦りの裏返しでもある。
小泉氏は都知事選後も脱原発の訴えを続ける見通しで、核のゴミ問題への関心はさらに高まる可能性がある。政府は今春にも国主導で適地を示す方式に変更するが、処分地選定ばかりを急ぐと、原子力政策の抜本的な見直しを避ける政府に対する批判が強まりそうだ。
(共同通信)
今何すべきか方向性出してほしい。
投稿者 原洋 : 2014年02月09日 05:20