竹ファイバーで強化プラスチック 九工大が新材料開発
九州工業大大学院生命体工学研究科(北九州市)の西田治男教授(高分子化学)が、竹繊維を使ったプラスチック材料を開発した。しなやかな竹の繊維を混ぜることで強度が増し、熱による変形が抑制されるといい、建築資材や自動車部品などへの活用が期待される。西田教授は「普及が進むことで放置竹林対策にもつながる」と話している。
竹の繊維を使った布や紙製品は実用化されているが、プラスチック化は珍しく、文部科学省が「大学発新産業創出拠点プロジェクト」に採択。実用のめどが立ったため、西田教授は2014年度中に法人を設立し、事業化を支援する。
竹の有効活用の研究は09年に開始。10年以降はタケノコの産地として知られる北九州市や福岡県八女市の支援も受け、複合材料の開発に取り組んできた。竹から繊維を取り出すには、高温の圧力容器内で加減圧を繰り返したり、薬品で溶かし出したりするが、コストが高かった。西田教授は圧力容器を使わず、竹に水蒸気を当て繊維周辺の物質を分解する手法に着目。220度前後の水蒸気を1時間~1時間半当てて細かく粉砕し、繊維を取り出す方法を確立した。
複合材料には、竹繊維を30~50%配合。プラスチックより堅い竹繊維を混ぜることで、複合材料は曲げ強度が2倍に増したほか、熱による膨張も10分の1程度になった。静電気を帯びにくい性質もあり、既に北九州市の自動車部品メーカー2社が製品化の可能性を調査。竹の粉末は月産100トンで通常のプラスチックより価格が安くなるため、大手素材メーカーからも問い合わせが来ているという。
事業化を支援するDBJキャピタル(東京)の山口泰久投資部長は「建築資材のほか、優れた帯電防止性を生かし半導体のクリーンルームで使う樹脂製品などにも活用できるのではないか」と期待している。
林野庁によると、九州の竹林面積は1981年の約5万5千ヘクタールから2012年には約6万4400ヘクタールに拡大。増えた分は放置竹林とみられる。竹は、地中の浅い部分に地下茎を伸ばすため、地滑りの危険性を高めるとの指摘もある。
=2014/01/29付 西日本新聞朝刊=