【死刑執行「一時停止を」】元裁判員ら、法相に要請へ 情報公開の徹底求める
死刑判決に関わった人を含む裁判員経験者約20人が、執行を一時停止した上で死刑制度の情報公開を徹底するよう求める要請書を近く谷垣禎一法相に提出することが7日、分かった。死刑をめぐっては存置論者からも「情報開示が不十分」との指摘が出ており、自ら判断を下した元裁判員らの声は議論に一石を投じそうだ。
要請を呼び掛けたのは、自身も裁判員を経験した不動産業、 田口真義 さん(38)。署名者には、死刑判決に関わった人が少なくとも3人含まれる見通しだ。
要請書は「死刑は他の刑罰と一線を画し、判断した裁判員には壮絶な重圧と葛藤がある」と指摘。死刑囚の処遇や執行の様子などについて詳細な情報公開や国民的議論がないまま、死刑が執行されると「裁判員経験者の苦しみは極限に達するだろう」としている。
一方で「自分たちの判断の当否や死刑制度の是非を問題提起したいのではない」と強調。「私たち国民が死刑の問題を直視し、議論する機会を与えてほしい」と訴えている。
死刑判決に関わった裁判員はこれまで、判決後の記者会見や経験者の意見交換会で「一生悩み続ける」「今も泣いてしまう」などと心境を吐露。法曹関係者らの間には、心理的負担が大きすぎるとして、裁判員裁判の対象から除外すべきだとの意見もある。
日弁連は、裁判員裁判の死刑判決は多数決でなく全員一致にすべきだと主張。法務省の裁判員制度検討会でも議論されたが「これまで特に問題が起きてない」として見直しの対象にはならなかった。
谷垣法相は就任した2012年12月から13年12月までに計8人の死刑執行を命令。制度の見直しや勉強会の設置には否定的な見解を示している。
法務省によると、裁判員裁判で死刑判決を言い渡されたのは13年末までに20人。このうち4人は死刑が確定しているが、執行されていない。
(共同通信)