歯のデータ規格統一を=災害時の身元確認効率化—新潟県歯科医師会が実証

 大規模災害などの際、遺体の身元確認に用いる歯科情報の規格を統一する作業を、新潟県歯科医師会を中心とするプロジェクトチームが進めている。治療歴など26項目をマークシート化してコンピューターで照合し、効率化・迅速化を図る。厚生労働省の実証事業で、全国規格を目指す。

 同会によると、東日本大震災では、生前と遺体の歯の情報を照合するソフトウエア導入などにより、損傷が激しい遺体はDNA型鑑定や指紋照合に比べ、身元確認に至るケースが多かった。しかし、遺体の歯について記載した「デンタルチャート」や、生前のカルテの規格が都道府県や歯科医院ごとに異なり、作業が煩雑化した。

 被災地で検視を行った歯科医北村信隆さん(54)は「書式を合わせる労力が必要だった」と振り返る。照合ソフトの開発に関わった青木孝文東北大副学長(48)は「画像データのJPEGのような汎用(はんよう)性のある規格が必要だ」と指摘する。

 マークシートは記入やコンピューター入力が容易な上、詰め物の有無や欠損部分など細かい情報を記録できる。520人が犠牲になった日航ジャンボ機墜落事故で、歯の情報で身元確認に尽力した父親を持つ歯科医の小菅栄子さん(42)が、青木副学長らと共同で提案した。

 新潟県内37施設の患者1763人で、シートの内容を一部改変したものを死後の情報として対照した実験では、「25人のうちの誰か」まで絞り込むことができた。性別情報などを加え、さらに特定に近づけられるという。 

[時事通信社]

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