■日本の取り組みを完全に無視
李氏のような認識は、現在の韓国の政治指導部やメディアなどの知識階層、文化人や国民の一部にも浸透している。一方的に「日本の責任」を追及するこうした姿勢には、重要な認識の欠落があるのだが、それらに気づく人は少なく、まして人前で公的に堂々と指摘する韓国人は皆無である。
日韓両国は1965年の日韓基本条約に伴う請求権協定の締結を経て、日本側が有償・無償あわせて5億ドルの資金を提供。両国はこれによって「過去」を清算し、国交が正常化されたはずである。「漢江の奇跡」と呼ばれた高度経済成長も、“日本との和解”を前提に受けた恩恵だった。
その後、90年代に入って韓国側が慰安婦問題を新たな懸案に取り上げ始めると、日本政府はこれにも「人道的見地」に立って対応。1997年から2002年までの間、政府主導の民間基金であるアジア女性基金を通じて慰安婦に対して歴代4人の首相が署名した「おわびの手紙」を添えて、200万円の「償い金」を手渡すなどの努力を積み重ねてきた。
慰安婦だった当時、女性たちは報酬を得て暮らしており「性奴隷」ではなかった。にもかかわらず、日本側はこれまで、人道主義に立って誠意を示してきたわけだが、韓国側には、こうした過去の事実を尊重し、直視する姿勢は全くない。
■国会議員は「巡回写真展」
慰安婦問題や日本の朝鮮半島統治時代に対する歴史認識にからみ、朴槿恵大統領が直接発信する“告げ口外交”とは別に、漫画などの文化的ツールを利用する韓国側の動きは最近のトレンドだ。写真展示という手段で世界的な反日宣伝を行うと宣言した国会議員まで現れている。