東京電力福島第一原発の敷地境界の放射線量について、汚染水タンクなどによる影響が年8ミリシーベルトと同社が推計していることがわかった。基準の8倍の数値にあたる。原子力規制委員会は10日に会合を開き、対策の検討を始める。

 東電によると、高くなっているのは、敷地の南で高濃度汚染水をためているタンクエリアの近く。昨年4月の地下貯水槽からの汚染水漏れでタンクに高濃度汚染水を移送したことで敷地境界の線量が上昇。5月には同7・8、12月には同8に上がったと推計した。

 廃炉の実施計画では、敷地外への影響を小さくするため、敷地境界の線量を年間1ミリシーベルト未満とすることになっている。

 東電によると、線量が上昇した原因は、高濃度汚染水をためたタンクからのエックス線。タンク内の汚染水に含まれる放射性ストロンチウムなどが出したベータ線が、タンクの鉄などとの反応でエックス線を生み、周囲の空間線量を高くしているという。(波多野陽)