さくらリポート:日銀 05年以来、全9地域「景気回復」

毎日新聞 2014年01月16日 20時41分(最終更新 01月16日 22時11分)

 日銀は16日、全国支店長会議でまとめた1月の地域経済報告(さくらリポート)を公表した。公表を始めた2005年4月以来初めて、全9地域の景気判断に「回復」の表現を盛り込んだ。雇用・所得の持ち直しを背景にした個人消費に支えられ、景気回復の動きが全国に広がりつつあることをうかがわせた。

 報告は、北海道、北陸、東海、中国、四国の5地域は景気判断を前回(13年10月)より引き上げた。前回は「着実に持ち直している」と、唯一、回復の表現を入れていなかった北陸も「緩やかに回復しつつある」に改めた。東北、関東甲信越、近畿、九州・沖縄の4地域は「回復している」または「緩やかに回復している」に据え置いた。

 「個人消費」については、北海道、北陸など4地域で上方修正した。百貨店で高い値段の商品がよく売れているうえ、住宅、乗用車を中心にした増税前の駆け込み需要も加わった。

 「所得」も残業代や一時金が増えていることから、北海道など4地域で上方修正した。企業収益が改善するなか、建設業などの人手不足感が強まっていることも、所得増を後押ししている。「生産」は、米国経済の回復や円安を背景に自動車が好調なことから、東北など4地域を上方修正した。

 分析を担当した日銀調査統計局は「今回の景気回復は、個人消費など国内の需要増が主導している」と強調。「好調な消費が生産増につながる好循環が全国的に広がっている」との見方を示している。

 日銀は3カ月ごとに開かれる支店長会議で、各地域の経済情勢について話し合い、地域経済報告にまとめている。【工藤昭久】

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