米国:債務上限引き上げは? 2月末デフォルト危機再び?

毎日新聞 2014年02月06日 20時12分

 【ワシントン平地修】米連邦政府の債務上限の引き上げ期限が7日に迫る中、米議会与野党は駆け引きを続けており、引き上げ合意の見通しは立っていない。期限を越えても当面は米財務省が緊急措置で資金繰りを続けるが、今月末には限界に達するとみられ、米政府は再び債務不履行(デフォルト)の危機に直面する。月末が近づくにつれ金融市場の緊張が高まるとみられており、世界経済にも悪影響を及ぼす恐れがある。

 「行動の遅れは米経済に害を及ぼし、金融市場を混乱させる。ただちに債務上限を引き上げることは議会の責務だ」。ルー財務長官は3日の講演で、議会に早急な対応を強く迫った。

 しかし、現状では7日までの上限引き上げは絶望的だ。財務省は7日以降、地方自治体向け証券の発行停止で借金を増やさないようにするなど、緊急措置でやり繰りする方針で、これらの資金繰りの尽きる今月末がデフォルトの危機を回避するための実質的な期限となる。

 オバマ政権は「上限引き上げは議会の責任」とし、無条件で引き上げの合意に応じるよう野党共和党に迫っている。これに対し、共和党のベイナー下院議長は「だれもデフォルトを望んではいない」としながらも、「雇用や経済のためになることをすべきだ」と主張。党内には、上限引き上げと引き換えに医療保険制度改革の一部見直しを求め、共和党にとっての「成果」を勝ち取るべきだとの声が上がっている。

 ただ、昨年も共和党は財政問題を巡り医療保険改革の撤回を迫り、10月には連邦政府の一部閉鎖を招くなど混乱。その結果、同党の強硬路線に世論の批判が集まり、一時的に共和党の支持率が急落した経緯がある。このため、党内には今秋の中間選挙を前に「対立による政治の行き詰まりは避けるべきだ」との慎重論も根強い。

 米議会与野党は昨年、予算案の大枠で合意するなど厳しい対立関係になっていないこともあり、今のところ市場では「与野党の歩み寄りは可能」(大手証券)との楽観的な見方が強い。ただ、上限引き上げの最終期限が近づくにつれ、市場の混乱が拡大したり、先行き不透明感から消費などに影響が及ぶ懸念も根強く残っている。

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