喉に良いもの悪いもの

みなさんノドの調子はいかがですか? 
冬というのは色々な要因が重なって、最もノドの調子を崩しやすい季節かもしれませんね。 
ボイストレーニングどころではなくなる、と言った事にならない様に、日々注意したいですね。

さて、ノドに良い(または悪い)食べ物・飲み物ってあるのでしょうか?

答えはYesともNoとも言えます。
一般的によく言われるものを例に挙げ、一つずつ解説していきたいと思います。


<お酒> 

”酒やけ”という言葉がありますね。いわゆるガラガラにかすれた声のことを指しますが、実はこれ、お酒だけが原因になっているとは言い難いのです。

お酒を飲むと血流がよくなり、一時的に充血したような状態になります。血管が拡張し、”腫れ”に近い状態とも言えます。

ただ、放っておけば酔いは冷め、元に戻ります。
これだけなら声への悪影響はありません。

ただし。
飲み会の席では大声を出したり、大笑いしたりすることもあります。そのままカラオケに行くこともあるでしょう。
そうするとどうなるか。

充血して、腫れたような状態の声帯を酷使し、擦り合わせるようなことをするわけです。力いっぱい。

結果は想像つきますね。
より腫れを酷くし、傷つけてしまう可能性が出てきます。
それを毎日続けるとどうなるでしょう。
声帯が傷を修復する前に新たな傷が生まれ、どんどんダメージが蓄積し・・・ついには完全に修復できず、形が変わってしまいます。

変形した声帯では完全に閉じることができなくなり、息もれが起こります。
それが前述のかすれ声へとつながるわけですね。

というわけで、お酒はほどほどに!
そして、飲み会でのおおはしゃぎもほどほどに!
それさえ心がけていれば、神経質になることはありませんよ。

それでは食べ物は? 

以前、知人とこんな話題になったことがあります。 

『辛いものは良くない』 
『熱いものは良くない』 
『乳製品は良くない』 

その方々とは初対面だったので口には出しませんでしたが・・・正直なところ、頭の中は?でいっぱいでした。

なぜなら、”ノドに悪い”と言いながらも、その根拠(声帯が腫れるとか、水分が奪われるとか、粘膜がまとわりつくとか)が全く曖昧だったからです。


ですので、まず結論から言いますと・・・

辛いものを食べても問題ありません!
熱いものを食べても問題ありません!
乳製品を食べても問題ありません!

その理由は簡単なこと。



人間には気管と食道があるから、です。


気管とは、空気の通り道。
当然、声もこの気管を通る(声帯は気管の中にある)ことになります。

一方の食道とは、食べ物や飲み物が通るわけです。

この気管と食道は、喉頭蓋(こうとうがい)という部分で交通整理をしているので、これらがごちゃごちゃになることは、通常ありません。(誤嚥といって、むせた時なんかがその例外にあたります)

ということは、どんなものを飲み食いしようと、それらが声帯に触れるということは基本的にありえないのです。
むしろ、触れてしまったら咳き込みまくるでしょうから、もはや歌どころの話ではありません。

辛いものがダメなら、中国、韓国、インドあたりの人々は歌が歌えなくなりますね
熱いものがダメなら、歌手はずっと冷や飯を食べなくてはなりません
乳製品がダメなら、歌手はずっと骨折の心配をして生きていくことになります


でも大丈夫です。
みなさん、安心して好きなものを食べてください。
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