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【外信コラム】ベルリン物語 中根大使に軍配

ニュースカテゴリ:国際の欧州・ロシア

【外信コラム】ベルリン物語 中根大使に軍配

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 ドイツ西部デュッセルドルフといえば、日系企業の欧州最大の拠点の一つ。安倍晋三首相の靖国神社参拝をめぐり、中国はここでも対日批判を繰り広げていた。

 年明けに同市商工会議所が開いた新年会。地元紙によると、招待客の史明徳・駐独中国大使は「日本は誤った行為をやめねば隣国の信頼を得られない」と批判する一方、中国系企業の進出を受け、中国の総領事館開設を目指すと述べた。会場には現地の日本総領事の姿もあった。同市と日本側との親密な関係にくさびを打ち込みたいとの中国側の思惑が透けてみえる。

 日本側は中根猛大使が市の別の会合で「平和国家」としての戦後日本の歩みなどを説明して理解を求めた。中国を名指しせず、逆に日本人社会が市側と築いた基盤が「他国企業の進出にも役立つなら喜びだ」とも言い添えた。

 関係者によると、独側関係者には「場違い」な中国側の発言に憤りもあった。ただ、市には長年の信頼関係がある日本も、経済関係を深めたい中国も大事で、対立が持ち込まれる事態は避けたかったのだろう。

 中根大使の言葉が中国への反論だと分かると、その「外交的思慮」に日本は「やはり友人」と評価が上がった。地元紙はこう伝える。「日本は難しい状況を期待通りのやり方で解決した」(宮下日出男)

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