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1950年に勃発し、3年後に休戦になった朝鮮戦争は今も深い傷痕を残して…
1950年に勃発し、3年後に休戦になった朝鮮戦争は今も深い傷痕を残している。
戦乱で家族や親戚がちりぢりになり、韓国と北朝鮮に分かれて暮らす人びとは、1千万人にのぼるともいわれる。
そんな離散家族に再会してもらう事業は、南北間の歩み寄りの象徴のようになってきた。
南北の赤十字が、その事業を今月下旬に北朝鮮の景勝地、金剛山で行うことで合意した。
実現すれば韓国の朴槿恵(パククネ)政権と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)政権のもとでは初めてとなる。合意通り、双方約100人ずつの再会が果たされるよう事態を見守りたい。
韓国側の関係者はきのう金剛山入りしたが、北朝鮮の国防委員会は、近く予定される米韓合同軍事演習などに反発しており、その中止を条件とする可能性も示唆している。
北朝鮮は昨年秋も、いったん合意した再会事業を直前に延期した。正恩政権は、この問題を再び政治の駆け引きに使うべきではない。これは人道問題であり、家族の情をもてあそぶような行為は許されない。
半世紀以上、異なる体制下で暮らしてきたとはいえ、同じ民族の血族意識は強い。
何時間も、ずっと互いに謝り続ける元夫婦。食事の時間でも寄り添いあうきょうだい……。00年の初の南北首脳会談以来、本格化した再会事業では、胸を締めつけるような光景が繰り広げられてきた。
それでも、これまで北朝鮮側が消極的だったのは、再会を通して豊かな韓国に関する情報が流れ込み、体制が揺らぐことを警戒したためといわれる。
一方、韓国の朴政権は発足から間もなく1年になるが、まともな南北対話ができていない。正恩政権の挑発行動が事態をこじらせてきたのは確かだが、朴政権側も北朝鮮を突き放すかのような態度をとり続けた。
朴政権は圧力の加減を調整し直し、北朝鮮を対話の席につかせるよう努める必要がある。最近の北朝鮮は対話姿勢に転じつつあるが、核開発も着実に進めている。放置はできない。
交渉の環境を整えるための呼び水には、食糧などの人道支援も有効となるだろう。北朝鮮は韓国からの食糧や肥料の支援に期待を寄せているはずだ。
まずは再会事業を実現させ、膠着(こうちゃく)した南北関係に風穴を開けねばならない。
北東アジアの安定には朝鮮半島の緊張緩和が必須であり、それは南北双方の国民の利益にもなる。双方の指導者とも、その責務を自覚すべきだ。
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