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【静岡】

浜岡原発審査 14日にも申請

「安全審査に適合したとしても安全ではない」と強調する鈴木敏弘弁護士(右)=6日、静岡市葵区の静岡県法律会館で

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 中部電力が浜岡原発4号機(御前崎市)の再稼働を目指し、十四日にも原子力規制委員会に安全審査を申請する方針を固めた。「三月末までのできるだけ早い時期」と説明してきた中電としては、もっと早く申請する方針だったが、津波対策や想定外のトラブルに加え、原発ゼロを掲げる立候補者が注目を集める東京都知事選も絡んでずれ込んできた。

 原発の新規制基準が昨年七月に施行され、これに基づいて規制委の安全審査が終わらなければ再稼働は認められない。これまでに七電力会社が十六基の審査を申請している。浜岡など福島第一原発と原子炉格納容器が同型の「BWR」と呼ばれるタイプは、特殊な排気設備の即時設置が義務付けられるなど、審査のハードルが高いとされる。

 最大の課題は津波対策だ。中電はマグニチュード(M)9・1の南海トラフ地震を前提に対策をしているが、規制委は審査ガイドの中で、南海トラフと南西諸島海溝との連動で起こり得る地震として最大M9・6程度を「参考値」として例示。中電はこの影響の調査、分析に時間を要した。

 昨年十一月には人為的ミスで5号機の非常用ディーゼル発電機のスイッチを入れ忘れ、再発防止策を御前崎市長らに報告したのは今月になった。都知事選では、原発即ゼロを掲げた細川護熙元首相が立候補したため「政治的に利用されかねない」(幹部)との判断で選挙期間中の申請は避けたとみられる。

 申請後も規制委の指摘を受けて調査や対策をやり直す電力会社が相次いでおり、再稼働を見通せない状況は続く。地元自治体は安全審査を受けることは容認する一方で再稼働反対の声は根強く、中電は二〇一五年九月末まで対策工事を進めながら、地元の理解を得られるかが焦点になる。

◆反対派「再稼働ありき」

 浜岡原発の危険性を訴えて再稼働に反対する人たちは六日、中部電力の安全審査申請について「再稼働を射程に入れている」「地震や津波の想定が不十分だ」と反発や批判を強めた。

 「再稼働申請にほかならない」。東京電力福島第一原発事故前から東京高裁で控訴審が争われてきた浜岡原発運転差し止め訴訟の原告団長、白鳥良香さん(81)はこう強調する。

 中電は「申請が再稼働とはリンクしない」(水野明久社長)との立場を繰り返すが、「再稼働反対が多い世論を意識し、苦しい言い訳をしているだけ」と白鳥さん。「審査を通れば中電は『浜岡が安全とのお墨付きを得た』と再稼働を突き進めかねない」と語気を強める。

 この日は県内の弁護士らが中電に浜岡の廃炉などを求めた訴訟の口頭弁論が静岡地裁であり、原告側は海抜二二メートルの防潮壁について「中電は何ら具体的に強度を立証していない」と述べるなど安全対策の不十分さを指摘した。原告兼代理人の一人、鈴木敏弘弁護士は閉廷後、「中電はどういう地震を想定しているかも明らかにしていない。申請は出せるのに訴訟には出さない。あまりに不誠実だ」と疑問を投げ掛けた。

 これに対し中電は閉廷後に記者会見で「申請の準備でいろいろ検討しているが、まだ結果が出ていない。誠実かどうかという問題ではない」(寺田修一法務部長)と反論した。

◆一層の安全対策を UPZ圏内の磐田市

 緊急防護措置区域(UPZ)にある磐田市の山下重仁危機管理監は「浜岡原発の再稼働と安全審査とは別と考えているが、使用済み燃料棒が保管されている現状を考えると、なお一層の安全対策を最優先で進めるべき。UPZ圏内に十二万七千人の市民がいるので、現段階では再稼働に賛成できない」とコメントした。

 

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