【ＢＯＸ】興毅、和毅に「監禁された」ＪＢＣ職員１０００万円賠償請求

１３年９月３日、ゲレーロ陣営が決定済みのグラブの変更を主張し、遠巻きで説明を聞く亀田興毅（右）と和毅（左）

　「亀田３兄弟」の長男で世界３階級制覇王者の亀田興毅（２７）と、三男のＷＢＯ世界バンタム級王者・和毅（２２）＝ともに亀田＝らが、昨年９月に日本ボクシングコミッション（ＪＢＣ）の男性職員（４２）を試合会場内に監禁して精神的苦痛を与えたとして、１０００万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こされたことが７日、分かった。また、ＪＢＣはこの日、亀田ジムの吉井慎次会長と嶋聡マネジャーのライセンス更新を認めないと発表。これで３兄弟の国内での試合出場が事実上、不可能となった。

　興毅と和毅がＪＢＣ職員から提訴され、３兄弟はＪＢＣの処分により国内での試合出場が事実上不可能―。亀田家が絶体絶命のピンチに追い込まれた。

　訴状によると、昨年９月、高松市で次男・大毅（２５）が出場したＩＢＦスーパーフライ級王座決定戦の試合前会見後、興毅らは報道関係者を会場外に出して、原告らＪＢＣ職員３人を残して全ての扉を閉めて監禁し、相手選手の使用グラブについて抗議したという。原告男性職員は、興毅から「おかしいじゃないか」などとどなられ、会見場から出ようとしたところを、和毅から首や肩を数回にわたり小突かれたと主張。都内で会見した男性職員は「すごいプレッシャーを感じ、怖かった」と述べた。

　亀田側代理人の北村晴男弁護士（５７）は提訴を受け、書面で監禁や脅迫行為などの事実を「一切ありません」と否定。「話し合いの状況を撮影した映像も保存」しており、「訴訟において事実を明らかにしていく」と説明した。

　また、ＪＢＣは、大毅が昨年１２月に体重超過した相手に統一戦で敗れながら王座を保持した問題で混乱を招いたとして、亀田ジム会長とマネジャーのライセンス更新を「少なくとも１年間」（浦谷伸彰・本部事務局長代行）は認めないと発表した。ＪＢＣによると、この処分が下されるのは初。亀田サイドは再審議を要請した上で処分が覆らない場合、無効を求めて提訴する意向を示している。

　亀田ジムは事実上の活動停止となり、３兄弟のボクサーライセンスも実質的に失効。３兄弟が国内で試合をするためには、新会長を置くか、他ジムへの移籍などが必要だ。しかし、ＪＢＣの秋山弘志理事長は亀田ジムについて「ライセンスを有していない人が影響力を持っている」と指摘。名指しこそ避けたが、０７年にセコンドライセンス無期限停止処分を受けた父・史郎氏（４８）の影響下にある内実を問題視。「不健全なジムの統治能力が改善されない限り、ライセンスは出せない」と簡単には“復帰”を許さない構えだ。