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海外で慰安婦宣伝は“愛国美談”

産経新聞 2月8日(土)7時55分配信

 在韓日本人たちはこのところ「韓国はまるで“慰安婦共和国”だな」とあきれている。今年も年明けから韓国マスコミは毎日のように慰安婦、慰安婦、慰安婦…である。

 たとえば昔、日本軍相手に慰安婦をしたという老女が亡くなるとマスコミはトップ級の大々的報道だ。まるでスター扱いである。確かに彼女らは今や反日支援団体やマスコミによって“反日スター”に祭り上げられているのだが。

 新年のあいさつだろうか外相はマスコミを引き連れて元慰安婦たちを激励訪問し、女性家族相はフランスで開かれたアングレーム国際漫画祭に出かけ、自ら主導したという慰安婦問題を描いた韓国人の作品展を直接、視察している。

 フランスでは韓国人留学生が慰安婦問題で日本非難の署名運動を始めたと、エッフェル塔を背景に得意げに語る姿も紹介された。

 韓国系市民による米国での慰安婦像設置問題も依然、精力的に報道され、米下院外交委員長が慰安婦像を訪れたという風景なども新聞の1面トップを飾っている。同じ米国発では、慰安婦支援と日本非難の先頭に立ってきた日系のマイク・ホンダ下院議員が次の選挙で落選しそうだと、在米韓国人たちが支援に立ち上がったという話も大きく伝えられている。

 実は近年、韓国内では一般国民には反日昔話は人ごと(?)になりつつある。そのせいかこうした海外に出かけての反日言いふらしや“反日告げ口”が盛んだ。それをマスコミが“愛国美談”として好んで伝える。外国で日本を非難することが愛国というわけだ。

 慰安婦問題は表面化してから約20年になるが、当初は必ずしもこんな意気揚々、得意げな雰囲気ではなかった。たとえば1993年8月、例の「河野談話」が出て日本の謝罪で韓国政府(金泳三政権)がこれを評価し、外交決着を“宣言”した際、韓国マスコミにはこんな社説が出ている(朝鮮日報8月5日付)。

 「過去のために今日、明日のことが一歩も進まないという状況は現代的外交ではない。問題があれば並行して議論するという姿勢が必要だ。従軍慰安婦問題はその性格上からも愉快なことではない。日本政府の謝罪を契機に補償はわれわれが引き受け、この恥ずかしい過去の章をもう閉じてはどうか」

 以前は慰安婦問題を自らの問題として「愉快ではない恥ずかしい過去」とする声があり、それが堂々と言えた。しかし今や海外にまで出かけて日本非難で高揚する愛国主義だけが蔓延(まんえん)するなか、こんな“恥”の発想が出る余地はない。

 慰安婦問題はこの時、外交的には解決しているはずだ。次の金大中大統領も1998年10月、小渕恵三首相との日韓共同宣言で日本が過去を謝罪、反省したことを高く評価し「これで過去は清算された」と語っている。慰安婦問題も外交問題にしないとの方針を明らかにしている。これらは当時、日韓双方のマスコミで伝えられているが、韓国側はそれを無視し問題を蒸し返してきたのだ。日本の国民感情に疲労感が残るのは当然だろう。

 年初に元慰安婦の老女が1人亡くなったことで、韓国政府への登録者は55人になった。これまでの登録者総数は237人。うち過去に日本の官民共同の「アジア女性基金」から補償と歴代首相の慰労・謝罪の書簡を受け取った人が61人いる(ソウルの日本大使館筋)。これを拒否した老女たちと支援団体によって今まで問題が続いている。コトの経過を知れば、韓国側の無理がよく分かる。(黒田勝弘)

最終更新:2月8日(土)8時20分

産経新聞

 

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