サムスン電子や現代(ヒュンダイ)自動車など韓国の輸出製造業にとって、ウォン安が海外市場攻略の大きな武器となってきたが、政策的にウォン安が維持されているとの見方も強かった。
年次報告によって、IMFも韓国の介入に懸念を示していることがはっきりした。日本がデフレ脱却を目的として量的緩和を実施した結果、円安になったことと性格を異にするものだ。
前出の勝又氏は「昨年12月にIMFトップのラガルド専務理事が韓国を訪れ、『経常収支の黒字を減らし、内需振興に力を入れるべきだ』と指摘しており、IMFが韓国経済の現状を問題視している様子がうかがえる」と話す。
IMFは昨年、年次協議とは別に、韓国の金融機関を評価する「ストレステスト」を行ったとされるが、結果は公表されていない。
韓国政府は1997年のアジア通貨危機をきっかけにIMFに救済を求め、IMFの管理下で、財政再建や金融機関のリストラ、財閥解体など大ナタがふるわれたが、IMFの視線は再び厳しくなっているようだ。