<米国務次官補>領有権巡り対中批判…「地域の緊張高めた」
毎日新聞 2月6日(木)11時27分配信
【ワシントン白戸圭一】ラッセル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は5日の米下院外交委員会公聴会で、中国による東シナ海、南シナ海での海洋進出や防空識別圏の設定が「地域の緊張を高めている」と述べ、西太平洋の空と海で勢力拡大を図る中国を批判した。南シナ海での領有権拡大に関する中国政府の主張についても「国際法に矛盾している」と明言した。
領有権争いで一方に肩入れすることを避けてきたオバマ政権が、中国の領有権に関する主張を否定するのは異例。ラッセル氏は4日の記者会見でも中国の対外政策を強く批判する一方、アジアの安全保障に果たす日本の役割を評価した。4月のオバマ大統領の訪日に向け、米国の「同盟重視」と「対中けん制」が鮮明になった。
ラッセル氏は公聴会で、中国による防空識別圏設定を「挑発的行動であり、悪い方向に向けた深刻な一歩だ」と批判。「尖閣諸島は日本の施政下にある。一方的な現状変更の試みは緊張を高めるもので、国際法の下での領有権に関する主張を強化するものではない」と述べ、中国の防空識別圏設定を認めない方針を強調した。
また、中国による南シナ海のスカボロー礁(中国名・黄岩島)の実効支配を念頭に「一方の主張に肩入れはしないが、南シナ海において、地形に基づかずに領有権を主張することには根本的な欠陥がある」と述べ、中国の主張を「国際法違反」とするフィリピンの立場を支持した。
その上でラッセル氏は、(1)中国による南シナ海での外国漁船の操業規制(2)中国当局船の尖閣諸島周辺の航行(3)防空識別圏の設定−−などを列挙し、「これらの行為は地域の緊張を高め、南シナ海、東シナ海の双方における中国の目的に懸念を抱かせる」と中国政府をけん制した。
オバマ政権は挑発的行為の自制を中国に求める一方、安倍晋三首相の靖国神社参拝に「失望」を表明し、日中関係の改善を促してきた。だが、中国政府による日本批判の世界的なキャンペーンが続く中、中国の狙いを「日米同盟にくさびを打ち込むこと」と捉えて警戒感を強め、4月の大統領訪日を前に「同盟重視」と「対中けん制」を鮮明にした可能性がある。
最終更新:2月6日(木)12時5分
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