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2008年10月17日

●ベートーヴェンの再来

致知 H.jpg

「致知」11月号の表紙を飾る人物、
祈るかのように一点を凝視している。
前には、書きかけの楽譜。

誰だろう?
全聾の作曲家、「佐村河内(さむらごうち)守」。
サブタイトルには「闇の中に見出した小さな光」と書かれている。

佐村河内守 3.jpg

そのインタヴューを読む。
その凄まじい半生の苦悩は喩え難く、
全くの闇と、聴こえない耳と、
轟音のような狂うが如き耳鳴りの中で、
神から授けられた音を譜面に刻み付ける。

それは、彼のベートーヴェンと同じ聾というより、
楽聖以上の身体的苦痛を背負いながら、
その一寸の隙間を掻い潜って音を聞き分ける。

それは、まさに苦行以外の何ものでもなかった。
彼の著書「交響曲第一番」は全篇、
その身体的苦痛が書き綴られて、
読む者をして圧倒する。

佐村河内守  2.jpg

4歳から始めたピアノレッスン。
その実母の厳しい手ほどきが、絶対音感を身に付けさせ、
それが、後年唯一の財産、残された手がかりとして、
天と地を繋ぐ役目を担うのだ。

高校生になり、突然襲い掛かって来た頭痛は、
やがて聴覚を根元から奪い去って行く。
その心身の壮絶な闘いの中で、勝ち得たものは、
「音楽を奪われ、そして、そこには音楽しかなかった」
という逆説、誰もが想像だにせぬ答えだった。

彼は、広島生まれの被爆二世。
その血の中には、父母が受けた死生の狭間がうごめく。
闇から光を、絶望から希望を志向する
強靭なる精神が繋がっていたのだろうか。





(「NEWS23」から)

(吹奏楽のための小品 佐村河内守)

閉ざされた漆黒の闇から一条の光が射すように、音が舞い降りる。
絶対沈黙と轟音の混沌の中から、搾り出るようなクラスター(音群)。
それこそ、動かすベからざるミューズの霊魂であった。

彼は、前衛の現代音楽を避け、調性音楽・マーラーの系譜を目指していた。
管弦楽法も何もかも独学で歩まざるを得なかった。
それは、音大教授による現代作曲法を嫌ったためだ。
幸い、彼の耳には、重層的な和声も聴き取れ、書き留められた。

しかし、あの原爆への思いと強烈な偏頭痛と愛する弟の不慮の死に、
天上で鳴る音響に、初めて不協和音の実在することを、自ら悟ったと言う。

武満以降、閉塞的なクラッシク音楽は、羅針盤のない、
聴衆の支持のない陋屋のように感じられた。
しかし、真のロマン派音楽の先に
なお書き続けられる、いや更に高みを目指す
作曲の道があったのだ。

この人生は、選ばれた意志ある者でなくては歩めぬ。

指が腱鞘炎のために動かず、ピアノからも見放された。
眼に光が射すと発作で倒れるため、夜もサングラスを付ける。

彼は、今もなお暗室に籠り、前には十字架のイエスとマリア像を掲げ、
激痛を沈静する安定剤をかじりながら、五線譜という金石に、
神の声を聞きつけ、天の調べを刻み付ける。

その「一を得んがために九十九を捨ててきた」と言う。
いや、捨てざるを得なかったはずだ。

嗚呼・・・、混迷の闇世に、かくの如き光の天使を
神は降したもうたか。
これが、奇跡に非ずして、何の奇しき業を見せると言うのか。

彼を取り巻く、ご両親といい、奥様といい、友といい、施設の少女といい、
みな彼の光を世に出すべき使いの仲間のようであった。


(ゲームソフト「鬼武者」、音楽 佐村河内守)


(五木寛之 21世紀・仏教への旅. 第一集 音楽 佐村河内守)

彼の音楽が、
現代に絶望する人々への希望の讃歌となりますよう・・・・・
誰もに生きる勇気が授けられますよう・・・・・・・・
そして、世界の国々を人々を繋ぐ架け橋、階(きざはし)となりますよう・・・・・・
・・・・・・・・・・
祈ります・・・・・

佐村河内守  1.jpg

コメント

遂に佐村河内守交響曲第一番“HIROSHIMA”がCD化されます。
クラシック音楽誌『レコード芸術』に記事として出ています。
日本コロムビア
指揮 大友直人
演奏 東京交響楽団
パルテノン多摩にてセッション録音
発売 7月20日

全曲東京初演特別演奏会 8月4日

歴史を動かす一枚となるでしょう。

皆様おめでとうございます。
コロムビアさん、ありがとう!

凄い情報ありがとうございます!

今、佐村河内守さんは突出した才能故に、現代音楽界から目を覆うような陰湿な虐め(佐村河内叩き潰し)にあっているので心配していたのですが、そうですか・・・
それは素晴らしい。

現代音楽界の圧力に怯まずCD発売に踏み切ったコロムビアさんと大友直人さんに気骨を感じます。

歴史を動かす人間は異端視されるものだよ。

佐村河内守さん、闇の中で孤高を貫く貴方の天の才に畏敬と憧れを感じています。

コロムビアさんありがとう。

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