大村秀章知事(右)に報告書を手渡す第三者調査委員会の加藤幸雄委員長=名古屋市中区の県公館で
|
 |
刈谷市の刈谷工業高校二年の野球部員山田恭平さん=当時(16)=が自殺した問題で、県が設置した第三者調査委員会が四日にまとめた最終報告。山田さんの死から二年半が過ぎ、関係者の証言が得られにくい中、事実の究明は困難を極めた。調査委は「早く調査していれば、もっと真実に近づけた」と悔やみ、学校と県教委、県教委設置の第三者調査委の対応の甘さを断罪した。
県の第三者調査委員会の最終報告は、事実究明に対する県教委の消極的な姿勢を指摘した。加藤幸雄委員長は「学校側の自発性に任せ、専門的見地からの助言をしていなかった」と批判した。
報告書によると、生徒の自殺から一カ月後、学校側が「野球部内で体罰があった」と県教委へ報告。県教委が「体罰と生徒の自殺は関係ない」との学校の報告を信じ、体罰情報を自殺と結び付けて受け止めなかったことを「非常に問題がある」と断じた。
さらに、今回の調査委が設置される前に、県教委が設けた最初の調査委が委員の氏名を非公表としたことや、遺族の事情聴取の際に代理人弁護士の立ち会いを拒んだことを問題視し、「遺族の不信感を招いた」とした。
県教委は今回の反省を踏まえ、昨年十一月に調査委の設置要項を見直した。これまでは非公開としていた調査委の調査内容を「原則公開」に改め、委員の氏名も公表。弁護士など遺族の付添人の同席も認めることにした。
県教委の担当者は「学校からの報告に限定せず、あらゆる可能性を考えて調査分析が必要だった」と話し、「遺族の理解を得ることを念頭に進めていかなければならない。委員の選出にも遺族の意向を反映させる」と述べた。
この記事を印刷する