2011年に愛知県刈谷市の県立高校2年、山田恭平さん(当時16)が自殺した問題で、有識者らでつくる県の第三者調査委員会は4日、最終報告書を公表した。所属していた野球部を辞められず、うつ病になったとする内容。部員への体罰を見聞きしたことが一因となった可能性を指摘するとともに、自殺した後の学校や教育委員会の対応の問題点も批判した。
第三者委の加藤幸雄委員長(日本福祉大学名誉教授)は同日記者会見し、「自殺から2年が経過し、証言をためらう人が多くいた。学校と県教委の初期調査は不十分と言わざるを得ない」と指摘。一方、山田さんの遺族は調査が不十分だとして、同日までに再開を求める要望書を大村秀章知事に提出した。
報告書によると、山田さんは10年12月ごろから両親や担任に野球部を辞めたいと相談していたが、監督らが慰留。11年5月下旬、顧問による部員への平手打ちなどの体罰行為を目撃すると部活に行かなくなり、1人でぼんやりするなどうつ病の症状がみられるようになった。その後顧問が自分を捜していることを知り、6月に練炭自殺した。
山田さんの自殺を巡っては、遺族の要請で県が昨年4月に第三者委を設置。報告書は「学校が体罰と自殺は無関係と即断したことが、遺族との関係を悪化させ調査を困難にした」と指摘。県教委の対応も「調査の視点、対応、方法が不十分。(調査にあたる)委員の名前を非公表とした点は非常に問題」とした。
県教委の野村道朗教育長は「反省すべき点は反省し、改善点を明確にしていく」とコメントした。
一方、山田さんの遺族は聞き取りをした野球部員が少数だったことへの検証が不十分などとしたうえで、「第三者委の一方的な(調査の)終了宣言に納得していない」と批判した。
加藤幸雄、大村秀章、自殺、うつ病
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