2014年2月6日12時02分
愛知県立刈谷工業高校2年の山田恭平さん(当時16)が2011年6月に自殺した後、遺族が開示可能な公文書の開示を求めたにもかかわらず、県教育委員会が「法定代理人になり得ない」と、間違った理由で拒否していたことがわかった。
●遺族に誤った説明
県教委などによると、県教委は、山田さんの自殺後に想定問答集を作り、11年9月30日に遺族宅を訪れた際に携帯した。その際、山田さんに関する情報の開示請求を考えていた母親に対し、「親というだけでは法定代理人になり得ない」と話したという。
朝日新聞が入手した想定問答集には「(学校からの報告書を)公文書開示情報請求された場合は存否応答拒否」「自己情報開示請求された場合は、遺族といえども法定代理人となり得ないことを根拠に拒否する」と書かれていた。
さらに体罰については、「(副部長の教諭のたたく、蹴る、正座させるなどの体罰的指導について)なぜ全てを体罰として処分しないのか」という質問を想定。「一般的に、指導する側、される側の体罰のとらえ方は個人によって異なる。状況や双方の受け止め方等を勘案し学校長が判断する」とあった。
07年の文部科学省通知では「身体に対する侵害を内容とする懲戒(殴る蹴る)など」を体罰と定めている。
県教委は公文書開示拒否について、「当時の担当者が知らなかった。遺族へは申し訳ないことをした」。体罰については、「(副部長の)具体的な行為に対して述べたものではない」と説明している。
これに対し、母親の優美子さん(44)は「学校長の判断で体罰でなくなってしまうから、体罰は決してなくならなかったんだと思った。こうした県教委の対応も第三者委に調査して欲しかった」と話している。(山本奈朱香)
●ミスで正座・硬球ぶつけ・ビンタ
山田恭平さん(当時16)の同級生で、同じ野球部員だった男性が、朝日新聞の取材に応じ、「ミスをすると正座をさせられ、教諭から硬式球をぶつけられることもあった」と証言した。
野球部副部長の教諭が2011年5月、トランプをしていた野球部員に体罰をした際の様子も目撃したという。この体罰は県の第三者委の最終報告書でも認定されており、「平手で結構な強さで顔をビンタされていた。『そこまでやるか』と思った」と話した。
山田さんについて「優しい子で、人の悪口も言わなかった」と振り返る。「僕は体罰は指導の一環だと思っていたが、『嫌だな』と、引きつった顔だった」と記憶しているという。
男性は第三者委には証言しておらず、アンケートにも応じていない。当時の部員約20人で相談し、「控えよう」と決めたからだった。男性は「学校や県教育委員会の調査を受け、何度も聞かれるのはつらかった」と話した。
朝日新聞名古屋編集局
朝日新聞・東海政界
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