吾唯知足 - 88世代起業家の備忘録

JX通信社代表取締役・米重克洋のブログ|航空行政・メディア・地方自治

「次の都知事」を予想してみる(2014年 東京都知事選予想⑤)

都知事選予想記事パート5は、得票数を予想したい。

これまで、パート1パート2パート3パート4と、「次期都知事」を予想しつつも定性的なポイントの記載に止めていた。その中で、自民党内で世論調査をもとに舛添氏が候補として見定められるプロセスや、細川・宇都宮両氏の一本化不成立を予想することが出来た。こうして見てきた推移に加え、マスコミ各社の序盤情勢調査の結果でもって数字を含め予想できる根拠が揃ったということで、今回の記事では思い切って数字の予想をやっておきたい。

改めて冒頭に記載しておくと、私個人として誰に当選してほしいとか、誰を支持しているという意見表明ではない

ニュースジャンキーの趣味として、また、「スマホ時代の専門紙」的ニュースアプリを開発し日々選挙報道を舐めるように収集している身として、あくまで客観的に、報道ベースの情報だけでどこまで正確に予想出来るかの備忘と捉えていただきたい。

 

【主要候補者の得票数・順位予想】

1位 舛添要一240〜280万票

2位 細川護煕90〜130万票

3位 宇都宮健児氏 60〜100万票

4位 田母神俊雄氏 20〜50万票

 

 

◎各社の世論調査はほぼ全て「舛添リード、細川追う」

・新聞の選挙情勢報道で、1位候補が「リード」ないし「先行」していて、2位候補が「追う」などと表現されている時は、ほぼ20ポイント前後差が付いている時だ。

・告示日前に出てきている数字から推測すれば、恐らく舛添氏が40%台、細川氏が20%前後の支持率ということではないか(私は今回生数字を見ていない)。

・そして細川氏と宇都宮氏には大差は付いていない。各社の表現を総合すると、恐らく開いていて3〜5%くらいの差だ。1000万有権者の5%は50万人なので、両者は今のままいけば開いてもそれくらいの得票差になるだろう。

・従って、投票率が前回並みとしてざっくり舛添260万、細川110万、宇都宮80万、田母神40万くらいではないか。これを中央値に、前後20万くらいのバッファを取って現時点での予想としておきたい。

・但し、田母神氏は以前から最大50万票と予想しており、例外だ。田母神氏について「当選しそうだからマスコミが隠そうとしている」とか「最低100万票」とかぶちあげている向きがあるが、いずれも信じるに足る根拠はない。各種情勢調査からしても、当選圏外のまま浮上できないことは明白だ。これは明確に予断してよい。

 

◎細川氏の「後から追い上げ」は無理、序盤情勢のまま投票日へ

・舛添氏がリードしていることは分かったとして、それを細川氏が抜かせるのかどうか、というのが今の専らのウォッチャーの関心事だろう。

・ただ正直、細川氏がこれから追い上げていく雰囲気はない理由は3つある。「争点設定の失敗」「批判」そして「内紛」だ

・争点については「脱原発」を主要争点として設定出来なかったことが各社世論調査で明らかになっている。

・「批判」は、告示日前にあった「佐川1億円問題」「高齢」「都政に明るくない」「討論会出席拒否」などの点に加えて「脱原発ワン・イシューの争点設定」戦略にも向いている。他陣営、とりわけ宇都宮陣営はその点を厳しく批判している。そうした風向きを各種調査で汲みとった細川陣営が、細川氏本人の街頭演説の内容について軌道修正を図ったようだ。具体的には、福祉など他の都政のテーマについて演説で半分程度時間を割くように変化させたとのことだ。最初は「脱原発」に6割〜8割の時間を割いていたので、明確な変化と言える。このことは報道や実際の演説動画で確認できる。

 

◎細川陣営の「内紛」騒動

・3つ目の「内紛」は、正直に言って非常に興味深い。いくつかの兆候が以前から見られたので、それを順に紹介したい。

・まず最初の兆候は告示前日にあった。広報担当に入るとの噂が流れていた上杉隆氏が、正式出馬会見当日にその職を解かれたという。

 

 

・更にその後、上杉氏の会社が運営するニュースサイトNO BORDERで陣営内部の綻びを示唆するような記事が出た。

・そして27日、産経新聞馬渡龍治元代議士の選対事務局長退任を報じたのだ。

東京都知事選で立候補した細川護煕元首相の選挙活動の指揮を執っていた馬渡龍治事務局長(元衆院議員)が退任することが27日、分かった。細川氏の陣営では、馬渡氏らのグループと、旧日本新党系グループによる主導権争いが激化していた。陣営幹部は「態勢強化の一環」と説明するが、関係者は「内紛だ」と語っている。

1月27日 MSN産経ニュース 「細川氏陣営で内紛? 選対事務局長が退任へ」 

産経新聞は記事中で「公約作成や選挙戦術をめぐり、意見対立がしばしば発生していた」としている。何となくそれが垣間見えるのは、細川氏の演説と小泉氏の応援演説の内容の食い違い、そしてWebサイトに記載されている公約文言との齟齬だ。

・細川氏は、初日から演説で「脱成長」という言葉を使っていた。告示前日の記者会見でも「経済成長至上主義との決別」とか「腹七分目の心豊かな生活」などという言葉を使っていた。つまり「経済成長も原発も放棄しよう」というロジックである。

・しかし、小泉氏は、今回の都知事選について「原発がなくても日本は成長できる」と述べている。その後の応援演説でも同じで、「原発ゼロでも経済成長できる」のだから脱原発すべきだ、というロジックなのだ。

・更に細川氏のWebサイトを見ると「原発ゼロが、新しい成長に点火する」とある。要は、細川氏側からは「脱成長脱原発」と「脱原発で経済成長」という、全く真逆のスローガンが同時に叫ばれているわけだ。

f:id:kyoneshige:20140128010703p:plain

細川氏Webサイトのスクリーンショット

・これは、その内容自体の是非はさておき、陣営内でメッセージの統一が出来ていない結果ではないか。そう感じていたところに、内紛の表面化が続いたわけで、やはりという思いがした。

・結果として、パート3パート4で記載したように細川氏は敗北する可能性が高いと今は見ている。

 

◎「舛添知事」は、1期目の失政無かりせば2期目の選挙では300万票超えへ

・都知事選には、ある2つの「法則」がある。

・まず、現職が出馬して負けることはない。そして、2期以上務める知事は、2期目の選挙が最高得票になる。この2点は、戦後の公選都知事全員に当てはまる。

・以前、私は猪瀬都知事が1期限りの知事ではないかと予想した(もちろん徳洲会5000万円問題発覚前のことだ)。これはこの「法則」が根拠になっている。

猪瀬都知事当選その日のツイート

 

 

2013年5月のツイート

 

・そして仮に、舛添氏が今回予想通り260万±20万票をとって当選したとすると、恐らく2期目の得票は300万票以上になる。これも今までの都知事選の傾向、数字から予想できることだ。対抗馬が悪ければ、400万票に迫る可能性すらある。

・何らかの問題があり、1期で辞めることになればこの予想は破綻する。が、仮に2期目がありそれも恙無く過ごせるとすれば、恐らく3期目、4期目もある。鈴木俊一石原慎太郎両氏のように、2期目をピークに3期目、4期目と20〜30万票ずつ減らしつつも当選し長期政権を敷くことになるだろう

・今回1期目の選挙で、対抗馬が弱すぎるわけでもないのもポイントだ。猪瀬氏のように、2期目にそれを超えようにも超えられない得票数を1期目に取ってしまうと、「法則」に照らせば2期目は無くなってしまう。今回の情勢では、そこまでの伸びは無さそうだ。

・つまり、言い換えれば今回の都知事選で都民は向こう10年以上に渡り君臨する新たな都知事を選ぶことになる。そしてそれが舛添氏である可能性が極めて高い。

・更に言えば、オリンピックを迎える知事も、舛添氏になるだろう。