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【世界を斬る】1機で50機撃墜 中国の挑発行動に米軍が最新鋭戦闘機F22を投入
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中国軍に対抗する米軍の最新鋭・戦闘機F22 太平洋に展開する米空軍は、最新鋭の戦闘機F22をローテーションのかたちでグアム島のアンダーセン基地、沖縄の嘉手納基地、北海道の千歳基地に配備し、警戒態勢を強化することになった。防空識別圏の設定など中国の不法な軍事行動に対抗するためだ。
太平洋・米空軍のハーバート・カーライスル司令官はこう述べている。
「太平洋軍はアラスカのエーメンドーフからF22ラプターをハワイに移していたが、今後はグアムにも配備し、嘉手納と千歳基地にローテーションで展開する」
F22はステルス性、つまりほとんどレーダーに映らない最新鋭の戦闘機だ。パイロットらは「ニンジャ」というニックネームをつけている。F22の4機が初めて沖縄に進出してきたとき、若い飛行隊長が私にこう言った。
「われわれは、台湾防衛のシミュレーションをやってきたばかりだが、1機で50機の中国戦闘機を撃墜することに成功した」
米国の専門家は、台湾攻撃に中国が動員できるJ10やJ11といった最新鋭の戦闘機が200機にのぼると推定している。F22なら4機で、「こうした中国の戦闘機をすべて撃ち落とすことができる」と主張している。
「戦闘地域のほぼ100キロ後方でE3Cが軍事行動を管制し、F22の4機に新鋭のK135給油機が同伴する体制を整えている」
米空軍首脳はこう述べているが、米国はこれまで情報が漏れることを警戒し、F22を隠してきた。日本にも一段格下のF35を売りつけようとしてきたが、中国の挑発的な行動に対して、ついにエースを投入することにしたのである。
このほか、米空軍はB52に先端技術を駆使したレーダーやミサイルを装備し、中国が作った防空識別圏の高高度を常時飛ばしている。さらに、ステルス性のB2戦闘機を米本土ミズーリ州の基地から、韓国のオサン基地まで飛ばしている。
太平洋の米軍・作戦部長、ジェフェリー・マクダニエル准将はこう述べている。
「中国の軍事行動を厳しく見張るため、日本との協力体制を強化している」
このようにB52やB2を投入するだけでなく、米軍は最新鋭の電子偵察機や無人偵察機をグアム島に配備し、東シナ海や尖閣諸島上空の警戒態勢を強めている。
グアム島に初めて無人偵察機RQ−4グローバルホークが配備されたとき、米空軍の幹部が私にこう言ったことがある。
「グアム島は、米国の最も西にある領土だ。ここから無人偵察機を中国とその周辺に飛ばす」
その後も、米軍は最新鋭の偵察機コブラ・ボールやコンバットセント、リベットRC135、さらにE8Jスターズといった最新鋭の偵察機をグアム島に配備。加えて、米軍は、かつて米ソ冷戦の主役だったU2偵察機まで動員し、全力をあげて南シナ海から東シナ海、尖閣周辺に至る地域で中国の不法な軍事行動に目を光らせている。
■日高義樹(ひだか・よしき) 1935年、名古屋市生まれ。東京大学英文科卒。59年NHKに入局し、ワシントン支局長、理事待遇アメリカ総局長を歴任。退職後、ハーバード大学客員教授・同大諮問委員を経て、現在はハドソン研究所首席研究員、全米商工会議所会長顧問。