水平社宣言:世界記憶遺産に登録申請へ

毎日新聞 2014年02月05日 20時04分(最終更新 02月05日 20時10分)

 水平社博物館(奈良県御所市)などは5日、部落差別の解消を目指した「全国水平社創立宣言(水平社宣言)」や関連資料約20点を国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産に登録申請することを明らかにした。3月末までに推薦書を提出し、2015年の登録を目指す。

 申請するのは水平社宣言のほか、水平社創立前に西光(さいこう)万吉らが結成した親睦団体「燕(つばめ)会」会員の集合写真▽水平社の創立趣意書▽水平社のシンボル「荊冠旗(けいかんき)」など。博物館を運営する奈良人権文化財団と、宣言を所蔵する崇仁自治連合会(京都市)が申請者となる。

 水平社宣言は1922年3月3日、京都市であった創立大会で読み上げられた。結びの言葉「人の世に熱あれ、人間に光あれ」で知られる。博物館の駒井忠之学芸員は「国内初の人権宣言で、併合されていた朝鮮半島の被差別民や、アイヌ民族の運動にも影響を与えた。被差別民の運動に勇気を与えた意義は大きい」と強調する。

 世界記憶遺産は、ユネスコが92年に創設。国内では2011年、故山本作兵衛氏(福岡県田川市)の炭鉱記録画と記録文書が初めて登録された。鹿児島県南九州市も4日、知覧特攻平和会館に収蔵する特攻隊員の遺書などの申請書を送った。【釣田祐喜、矢追健介】

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