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2011-11-20 365+283=648

大選挙区は組織政党を利するだけ

政治を鍛える 選挙制度―参院を全国11の大選挙区に

(cache) asahi.com(朝日新聞社):社説   平成23年11月20日 日曜日

http://megalodon.jp/2011-1120-1150-53/www.asahi.com/paper/editorial20111120.html

<<抜粋・太字・着色は管理人による>>

 政党が候補者を擁立する現状のもとで、有権者が政党より個々の人物の見識を比べて選ぶには、どんな制度がいいか。

 一つの答えは、全国を複数のブロックに分けた大選挙区制にして、比例区をなくすことだ。

 大きな選挙区にして定数を増やせば、同じ党から複数の候補者が立つので、有権者の選択肢は広がる。衆院比例区と同じ11ブロックにすれば、衆参同日選での混乱も避けられる。

私は、以前から大選挙区には反対でした。朝日新聞が大選挙区に賛成だとすると尚更に反対の気持ちが強くなります。まあ、それは措くとして、私が大選挙区に反対なのは、大選挙区も死票が多いと思っているからです。考えてみて下さい、トップ当選の候補が2番目の候補に倍の票差を付けた時の事を。仮にトップ当選の候補がA党の候補だとしたら、A党は比例代表制なら2議席以上を獲得できたのです。ところが、A党の他の候補が数表足りなくて落選する事は有り得ます。小選挙区制で死票を問題とする人が多いのに大選挙区制の死票について語る人が少ないのかは、かねてからの疑問です。

私が、もう一つ大選挙区制に反対する理由は、組織政党に有利だと思っているからでもあります。具体的には、公明党です。大選挙区制の場合、公明党は各候補者に、ほぼ等しい投票を行って来ました。けっしてトップ当選はしないけれど、落選も確実にしない投票数で。このような事は自民党には出来ません。おそらく民主党にも。

私は、現状の記名投票比例代表制をブロック制にすれば、それで良いと思います。わざわざ大選挙区制にしようという朝日新聞の意図は何処にあるのでしょうか。私には、無所属(を装った)サヨク文化人を当選させやすくするためのように思えるのですけれど。社民党や共産党の色の着いた候補者に投票するのは躊躇(ためら)われますからね。

その他、気になったところへの反論をいくつか。

 たとえば、議員の劣化が小選挙区のせいなら、なぜ英国ではそんな指摘がないのか。政策が似るより、政党内がばらばらな方が問題ではないのか。政党組織や人材が制度改正に見合う進化をしていないのが、混乱の主因ではないのか。

私は、議員が劣化したとは思っていません。議員の程度は、以前から今と同じような物だと思っていますから。それが劣化したように思えるのは、どうしてでしょうか。私は、情報が増えたからだと思っています。昔は、自分の選挙区の政治家か閣僚になるような有力議員の情報しかマス・メディアには載りませんでした。しかし、ネットが一般化してからは一回生議員の情報まで流れるようになりました。昔なら偶然に当選した議員の話など話題にもならなかったはずなのに。偶然に当選した議員とは、小泉チルドレンや小沢ガールズの事です。言うまでもありませんけれど。

議員が劣化したように思えるのは国会審議の様子がリアルタイム以外で観られるようになったのも大きいのかも知れません。国会TVやニコニコ動画によって後から討議を観られるようになりましたから。以前は、社会人のほとんどが生放送のNHKの国会中継を観られなかったのとは大変な違いです。国会中継を観ていれば、このような人が大臣なのか、と思ってしまうのではないのでしょうか。そして、そういう大臣を選んだ総理への信任も失われていくのだと思います。

 2人区は民主と自民のほぼ指定席になり、勝敗は衆院小選挙区のように1人を選ぶ29カ所の1人区にかかる。2大政党が1人区で雌雄を決する構図も、衆院と同じなのだ。

2人区だけは絶対に止めるべきです。朝日新聞が書いている通り、二大政党の指定席になってしまうから可能性が高いと思いますから。私は、典型的なのが参議院の宮城選挙区だと思います。民主党公認で出馬する限り、岡崎トミ子氏を落選させる事は不可能だろうからです。

同じく思うのは、中選挙制の議論も終わったとのではないのでしょうか。理由は、地方の人口減少によってです。現在、鳥取県の人口は60万人を割っていました。どのような選挙制度に変えるにしろ議員定数の削減は避けられないと私は思っています。そうなると衆議院議員の定数480が最低でも450になるはずです。そうなると議員1人当たりの有権者の数は約22万人になります(450*22万=9900万、有権者総数は1億人余り)。鳥取県の人口が55万人を割ったら、中選挙区制でも2人区にするのでしょうか。これを乗り越えるには県という単位を外す必要があります。選挙制度と県という区切り、どちらが強固なのでしょうか。私は、おらが県の議員を、という要望の方が強いと思っています。

 戦前の男子普通選挙や、戦後の婦人参政権のように、選挙権の拡大は政治に新しい風を吹き込む。いまの閉塞(へいそく)感を打ち破るきっかけになるに違いない。

私の記憶が確かなら、女性議員の数は敗戦直後が最多だった時代が長く続いたはずです。『新しい風を吹き込む』のは良いのですけれど、それを一時的な物にしない方策も求められるのではないのでしょうか。選挙権を18歳、16歳にしても被選挙権は25歳以上(参議院議委員と知事は30歳)と決まっています。私は、選挙権の低年齢化を議論するなら被選挙権の低年齢化を議論しない事が不思議で堪りません。『選挙権はみずから政治を考える訓練を促す』というなら尚更に被選挙権は訓練を促すと私は思います。


社説全文は以下

政治を鍛える 選挙制度―参院を全国11の大選挙区に

 選挙制度を改めよう、という議論が衆参両院で動き出している。司法から「違憲状態」だと指弾された「一票の格差」の是正に背中を押された格好だ。

 衆院では、民主党が格差をただした後に、抜本改革にも取り組みたい考えを示した。民主、自民両党などの一部議員は、小選挙区制を見直す議員連盟を立ちあげた。

 参院でも、すでに主要各党や故西岡武夫議長らの具体案が並んでいる。

■衆参の一体改革こそ

 私たちも選挙制度を根幹から見直すべきだと考える。

 その際の鉄則は、衆院と参院を一体的に改めることだ。

 両院の役割を再定義して、それにふさわしい議員の選び方を考えていくのだ。

 衆院は首相選びで参院に優越し、解散の制度もあるので、その時々の民意を反映させて政権党を選ぶことに主眼を置く。

 だからこそ参院は、時間をかけた政策論争に徹する。そのためには、政党よりも人物を選ぶ制度がふさわしい。

 この視点で、まず衆院の小選挙区比例代表並立制を見る。

 批判は山ほどある。小選挙区での過半数の支持を求めて2大政党化し、政策が似通い、多様な民意をすくえない。死票が多く、票差以上に議席数が開く。狭い選挙区なので議員も小型化し、質が劣化した。

 有権者にすれば、政策的にも人材面でも選択肢が限られる。小選挙区の落選者が比例で当選する違和感もぬぐえない。

 一方で、政権交代ができた功績は大きい。有権者が政権を選ぶ民主主義のサイクルも、小選挙区制とともに回りだした。

 功罪の検証は難しい。

 たとえば、議員の劣化が小選挙区のせいなら、なぜ英国ではそんな指摘がないのか。政策が似るより、政党内がばらばらな方が問題ではないのか。政党組織や人材が制度改正に見合う進化をしていないのが、混乱の主因ではないのか。

 こうした疑問をまず、選挙制度審議会など第三者機関で検証すべきだ。比例代表を中心にする、中選挙区制に戻す、完全小選挙区制にする、現状のままでいいといった議論は、検証の結果を見ながら、政権党を選ぶのに適した制度をめざしてすすめるのが筋だろう。

 次に参院を見ると、選挙区と比例代表の組み合わせであり、衆院とよく似ている。

 2人区は民主と自民のほぼ指定席になり、勝敗は衆院小選挙区のように1人を選ぶ29カ所の1人区にかかる。2大政党が1人区で雌雄を決する構図も、衆院と同じなのだ。

■100人の賢人の府

 そんな参院が衆院並みの権限を持つから、参院選が政権に打撃を与え、政治を停滞させることにもなる。だから前回、衆院の優越を強める策を唱えた。

 それに続き、今回は選挙制度改革の一案を提言する。政治を機能させるために、制度改正は焦眉(しょうび)の急であり、参院については2013年の選挙から実施すべきだと考えている。

 政党が候補者を擁立する現状のもとで、有権者が政党より個々の人物の見識を比べて選ぶには、どんな制度がいいか。

 一つの答えは、全国を複数のブロックに分けた大選挙区制にして、比例区をなくすことだ。

 大きな選挙区にして定数を増やせば、同じ党から複数の候補者が立つので、有権者の選択肢は広がる。衆院比例区と同じ11ブロックにすれば、衆参同日選での混乱も避けられる。

 現行の定数242なら、各ブロックの3年ごとの改選数は、4〜19程度になる。思い切って「100人の賢人の府」にすれば、2〜8になりそうだ。

■16歳から投票所に

 選挙制度の改正にあわせて、選挙権年齢を引き下げよう。国政は18歳から、地方選では16歳とすることを提案する。

 09年の衆院選でも若者の投票率は低かった。20〜24歳の約47%に対し、65〜69歳は85%余りで、2倍近い開きがあった。

 これからの政治の大きなテーマは、社会保障の負担や膨大な負債の返済を、世代間でどう分かち合うかだ。若い世代の声をもっと政治に届けた方がいい。

 義務教育を終えた16歳から、暮らしにかかわる地域の問題と向き合う地方選に参画する。長野県小諸市のように「高校を卒業して故郷を離れる前に」と、16歳以上の市民に住民投票への参加を認めた自治体もある。

 友だちと政治を語り合い、選挙も経験すれば、18歳からの国政選も自然なことだ。

 「最近の若い者は幼く、判断力がない」という批判もあるだろう。だが、選挙権はみずから政治を考える訓練を促す。

 戦前の男子普通選挙や、戦後の婦人参政権のように、選挙権の拡大は政治に新しい風を吹き込む。いまの閉塞(へいそく)感を打ち破るきっかけになるに違いない。

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