【憲法96条の本当の目的】権力者を縛るのは一体何の為か

最近話題の憲法96条の役割は「権力者が都合よく改憲するのを縛ること」だと言われています。しかし、憲法96条の目的をそのように考えているから、今の憲法が必要以上に改正しにくくなって、歪がどんどんたまっていくのではないでしょうか。

  1. 権力者を縛る目的は?
  2. 権力者に都合の良い改憲は絶対的に悪なのか
  3. 本当の目的は国民を守ること
  4. 国民を脅かすのは権力者の横暴による改憲だけか?
  5. 時代に合わなくなった条文
  6. 多数派が抑圧されることによる国民主権侵害
  7. 少数決と多数決の弊害を比較
  8. 最後に

権力者を縛る目的は?

@web_shufuが一番良くないと思うのが、「権力者が都合よく改憲するのを縛ること」を憲法96条の究極の目的と考えることです。

その先にもっと大切な目的があるのです。

権力者に都合の良い改憲は絶対的に悪なのか

よく考えてみれば、「権力者が都合よく改憲すること」は必ずしも悪いとは言い切れません。

「権力者が都合よく改憲すること」で、国民の意思が踏みにじられ、結果として国民が虐げられることが問題なのです。

問題なのは「国民の意思を無視して権力者に都合よく改憲すること」ですよね。

逆に、権力者が自分に都合よく改憲したつもりではなくても、国民の意思とずれてしまって、結果的に「国民の意思を無視」した場合は、やっぱり問題です。

一方、国民の意思を忠実に反映し、国民にとっても都合のよい分には、「権力者に都合よい改憲」もさほど問題ではありません。

kokuminnoishi

そういうわけで、憲法96条の究極の目的は、改憲に国民の意思が反映され、国民が憲法によって虐げられるような事態を防ぐことではないでしょうか。

改憲のハードルを上げても、そのことによって国民の諸権利が侵害され、国民が虐げられる結果になっては本末転倒です。

憲法96条は国民を守るものでないといけません。

国民を脅かすのは権力者の横暴による改憲だけか?

現行の憲法96条は、2/3という特別多数を要求して改憲そのものをし辛くすることで、権力者による横暴な改憲を防いでいます。

改憲反対派が両院のどちらかで1/3超の議員を確保すれば改憲阻止です。改憲するのはとても大変です。

確かに、権力者にとって都合の良い改憲によって国民が虐げられる事態を防ぐには、特別多数は物凄く有効です。

憲法の規定によって国民の権利が侵害されるケースが、権力者が国民の意思を無視した改憲した場合に限られると言うのなら、現行の96条はとても優秀な規定です。

しかし、憲法が国民を虐げてしまう場面というのは、権力者による横暴な改憲だけではありません。

実は、今の96条は、「権力者による横暴な改憲」の防止しか考えずに特別多数を採用したため、その他の不具合にはとても弱いのです。以下で詳しく見ます。

時代に合わなくなった条文

これについては先日記事にしました。

制定当初、国民の身の安全を保証していた条文が、いつしか国民の安全を脅かす存在になっても、ごく少数の反対派の意見で改憲できません。

権力者による横暴な改憲を防ぐことだけしか考えずに、特別多数で改憲しにくくしたため、国民の意思に基づく必要な改憲すら出来ずに生じる弊害です。

多数派が抑圧されることによる国民主権侵害

これについても関連する記事は先日UPしました。

憲法は国民主権を維持するためのもっとも大事な規定です。

そんな最高法規改正の発議手続で、少数決(改正反対派が1/3超で改正失敗)を容認することを、さも当たり前のように言う人の神経が信じられません。

現行96条を改変すべきでないという方は、少数決の弊害を真剣に考えて頂きたいと思います。

少数決を採れば多数決の弊害と類似の弊害が現れます。

しかし、その規模は、多数決の弊害など比べ物にならないほど大きくなります。

少数決と多数決の弊害を比較

意見の抑圧について

多数決を採用すると少数派の意見が抑圧されるという弊害が出ます。

一方、少数決を採用すると多数派の意見が抑圧されるという弊害が出ます。

少数決の方が弊害が大きいのは明らかですね。

最小勝利連合の問題

多数決においては最小勝利連合によって、事実上の少数支配が実現する可能性が問題になります。これは確かに、多数決の弊害です。

一方、少数決ではシステム自体が少数支配です。その弊害は多数決の比ではありません。

その他の弊害

多数決 – Wikipediaによれば、衆人に訴える論証、合議体の破綻、場の空気など多数決の弊害は他にもありますが、いづれの観点からも少数決の弊害が多数決のそれを上回ることは明らかです。

古来、意思決定に関する多数派の不満が、社会不安、内乱、暴力的革命の原因になったことを考えれば、改憲規定に少数決の論理が入り込んでいる現状はかなり危険です。

最後に

現行の憲法96条は、権力者の横暴によって成立した憲法条文が国民に刃をむき出しにするのを防いでくれます。

しかし、憲法が国民を脅かすケースのうち、権力者の横暴が原因ではないケースにおいては、憲法96条が国民を虐げるのに力を貸してしまいます。

このバランスの悪さの原因は、憲法96条の「三分の二以上」にあることが明白です。

よって、@web_shufuは、憲法96条の「三分の二以上」を「過半数」に変えるべきと考えています。

皆さんはどう思われますか。



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【憲法96条の本当の目的】権力者を縛るのは一体何の為か」への5件のフィードバック

  1. ウェブシュフ

    憲法96条改正反対派の方は、権力者の横暴な憲法改正が危険だから、発議に少数支配の原理を取り入れてまで、「改正そのものをやり難くしてしまえ」という発想。改正しにくいことや少数支配による副作用を全く言わないですよね。好きになれません。 http://t.co/PJtMTwsWlk

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