2012年12月16日

「公共の福祉」「公益及び公の秩序」の議論について、自分なりに考えてみた。



「公共の福祉」「公益及び公の秩序」の議論について、自分なりに考えてみた。

福祉という言葉は、一般的なイメージとしては弱者保護のイメージがあるように思う。生活保護とか介護とか。これは通説の解釈とはちょっと分野が違う。一般的な国民がイメージしやすい「公益及び公の秩序」でいいんじゃないかと思った。
憲法をちゃんと読む国民も少ないと思うが、なるべくパッと読んでイメージする言葉に近い方がいい。と思った。

両者の書きぶりを比較すると、

現在「常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う」・・・これしかやっちゃだめだよ。という書きぶり
草案「常に公益及び公の秩序に反してはならない」・・・反しない範囲ならなんでもやっていいよ。という書きぶり

「公共の福祉」=「公益及び公の秩序」ならば、改正案のほうが国民の自由度が高い。
同じ意味なら改正案のほうがいいんじゃないかと思う。

が、これが同じ意味なのかどうか検証が必要だ。

「公共の福祉」は通説がある。「公共の福祉」の通説は見つけたけど、公益及び公の秩序の通説が見つからない。
「公共の福祉」は通説の解釈で行けば大丈夫だが、「公の秩序」というのが法律学者の通説になるほどに固まってないようで、これを「国家秩序」と解釈されるとまずいというのが草案反対の人の意見のようだ。

政府や権力を一切信用しない立場からは、一理ある反対意見だと思う。

しかし、以下の疑問が思い浮かんだ。

疑問
1)公の秩序の解釈を「国家の秩序」ではなく「社会秩序」とし、全体の解釈として現在の解釈を維持すればいいのではないか?「公共の福祉」の解釈が現在の通説におさまっているように(現に、自民党のQ&Aでは、「社会秩序」の意味であること「反国家的な行動を取り締まる」ことを意図していないと明記。これにそって通説が固まればいい)
2) 現在の「公共の福祉」の通説(内在的一元説)は、昭和46年少なくとも現憲法ができたのちに通説化しているようだ。「公の秩序」をどう解釈するかの話にすぎないのではないか?
3) そこまで政府が信用出来ないとしたら「公共の福祉」の解釈で、政府が通説と違う立場を取る危険性はどうかんがえるのか?
4) 現憲法下で、安保反対の運動とりしまったり、合意であれば他人の人権を邪魔しない売買春を刑法で取り締まっていることはどう捉えるのか?
 (他にも賭博とか、風俗営業法とか、麻薬とか)

(参考)
http://www5a.biglobe.ne.jp/~kaisunao/ken-jinken/03fukusi.htm
http://blog.goo.ne.jp/kimkimlr/e/aa1a5d2660cc0f294435012a8d3b746c

(自分の結論)
◯「常に公益及び公の秩序に反してはならない」への修正でオッケー
・どうせ国家や権力がやろうと思えばできるわけで「公益及び公の秩序」が「公共の福祉」であったとしてもなんの歯止めにもならない。
・社会秩序を通説にすればいい。立案者もそう言っている。憲法学者の解釈の範囲の話。
・一般的な国民のイメージに合う文言を使った方がいい
・これをやれではなく、これ以外ならいいよという文言のほうが、国民の広範な権利を保証することにつながる
・結局こういうのは裁判所が判断するもので、そこは利益衡量の考えが適用される。

でも、これって政府や権力をどれくらい信用するのかっていうことの立場なんだと思う。
まったく信用しないとしたらやむを得ないんだけど、それでも3)の問題は残ると思う。

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Q14「公共の福祉」を「公益及び公の秩序」に変えたのは、なぜですか?
 http://blogos.com/article/51928/

従来の「公共の福祉」という表現は、その意味が曖昧で、分かりにくいものです。そのため学説上は「公共の福祉は、人権相互の衝突の場合に限って、その権利行使を制約するものであって、個々の人権を超えた公益による直接的な権利制約を正当化するものではない」などという解釈が主張されています。

今回の改正では、このように意味が曖昧である「公共の福祉」という文言を「公益及び公の秩序」と改正することにより、憲法によって保障される基本的人権の制約は、人権相互の衝突の場合に限られるものではないことを明らかにしたものです。

なお、「公の秩序」と規定したのは、「反国家的な行動を取り締まる」ことを意図したものではありません。「公の秩序」とは「社会秩序」のことであり、平穏な社会生活のことを意味します。個人が人権を主張する場合に、他人に迷惑を掛けてはいけないのは、当然のことです。そのことをより明示的に規定しただけであり、これにより人権が大きく制約されるものではありません。

日本国憲法改正草案Q&Aより

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posted by うらさく at 12:52| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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