公約を自分で読まなければ始まらない
テーマ:政治自民党の『参議院選選挙公約2013』と『政策集J-ファイル2013』が発表された。まだ公約をざっと読んで、政策集の方は見出しを拾ったくらいだが、基本的に衆院選のJファイル2012(41ページ)がベースになっているが、政権運営を踏まえて、より具体的かつ進化したものとなっている。
自民党 参院選公約2013(26ページ)
http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/sen_san23/sen_san23-2013-06-20.pdf
J-ファイル2013 総合政策集 (84ページ)
http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/sen_san23/j-file-2013-06-20-3.pdf
何回も指摘してきたように、安倍政権が現在進めている政策はJファイル2012に沿って進められているが、それは谷垣自民党の時代から議論を積み重ねてきた政策を継承している。民主党のように、代表が変わるたびに誰かの思い付きや独断が入ることなど自民党にはない。
例えば、自主憲法制定は前回の参院選時のJファイル2010にすでに入っているし、成長戦略もイノベーションも法人税引き下げも、それがいいか悪いかは別にして、みんな入っている。もっと言えば、第一次安倍政権、麻生政権が実現できなかったことも、引き継いできているのである。
Jファイル2010(2010年参院選政策集)
https://www.jimin.jp/policy/pamphlet/pdf/j_file2010.pdf
今回の政策集は、政権与党ならではの具体的な実績とこれからの課題が加わって、より現実的で詳細な内容になった。例えば、国土強靭化に関する記述は、公約では約1ページ(P19.20)だが、政策集には約3ページ(P49~53)にわたって詳細に書かれている。
さらに、『政権復帰から約6カ月間で実行した「政権公約2012」の主な項目』(P5)13項目の一つとして、次のように書かれている。
「防災・減災等に資する国土強靱化基本法案」「南海トラフ地震対策特別措置法案」「首都直下地震対策特別措置法案」を国会に提出。補正予算や平成25年度予算にも、防災対策や通学路の安全対策など、国民の生命を守るための施策を盛り込みました。
野党時代から取り組んできたテーマだから、一部はすでに動き出しているのである。
これに対し、この国土強靭化に対抗した法案を提出すると言い出した民主党は、今回の参院選用のマニフェスト(まだマニフェストと言っているw)に、こんな内容をいれるそうだ。
(防災・国土)
○発災後72時間の対応の強化に資する「命の防災基本法」の制定をはかります。地域における消防団、自治会、ボランティアなど多様な団体との連携を進め、防災教育と訓練の拡充に努めます。東海・東南海・南海や首都直下地震等を具体的に想定した対策を進めます。
○社会資本再生法・活用推進特別措置法(仮称)を制定し、防災・減災、維持管理・更新の視点から、公共事業の選択と集中を進めます。
(民主党 『マニフェスト掲載政策
』18ページ から)
たった、これだけである。政策集のようなものが出てくればもう一度確認したいが、自分たちで情報を集めたり議論して政策を作り上げることができない政党だから、もし字数が増えても中身が具体的になることはないだろう。ただ、一つだけ引っかかる記述がある。
それは、「ボランティアとの連携を進め・・」の部分だ。別に、ボランティアがいけないということではなく、それを主導しているNPOの活動が、かえって被災地の復興の妨げになっているという指摘があるのだ。そして、それは民主党政権の「新しい公共」という政策の負の遺産なのだ。
「保守ですが何か?」さんのブログから
『「復興」より「あたらしい公共」が大事?』
http://ameblo.jp/genten-nippon/entry-11476673242.html
さらに次の記事によると、新しい公共がらみのNPOが、例の『復興庁役人の「左翼のクソ共」発言』事件と関係があるそうだ。つまり、ルーピーの肝いりで始まった『新しい公共』という政策が、大勢の善意のボランティア活動と復興予算を食い物にし、かえって復興の妨げになっている。
『復興庁役人の「左翼のクソ共」発言』
http://ameblo.jp/genten-nippon/entry-11551894017.html#cbox
「保守ですが何か?」さんの視点は鋭く、「左翼のクソ共」のなかにはどこかの左翼首長も入っているようだ。東北の復興のためには、瓦礫だけではなく、こんなガラクタも片づけなくてはいけないのである。安倍政権はこれにどう対応するのだろうか。
さて、話を公約に戻すと、気になるのはTPP交渉の今後だ。
自民党の決議内容は政策集にしか入っておらず、公約には次のように書かれているだけだ。
●TPP等の経済連携交渉は、交渉力を駆使し、守るべきものは守り、攻め
るべきものは攻めることにより、国益にかなう最善の道を追求します。
これでまた、自民党はダメ、安倍総理はダメと騒ぐ人がいるだろうが、政策集では次のように書かれている。
特に、自然的・地理的条件に制約される農林水産分野の重要5品目等やこれまで営々と築き上げてきた国民皆保険制度などの聖域(死活的利益)を最優先し、それが確保できない場合は、脱退も辞さないものとします。
・ 自然的・地理的条件に制約される農林水産分野の重要5品目(米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物)等の聖域を確保する。
・ 自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。
・ 国民皆保険制度を守る。
・ 食の安全安心の基準を守る。
・ 濫訴防止策等を含まない、国の主権を損なうようなISD条項は合意しない。
・ 政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる。
このように、具体的な条件を挙げて「脱退も辞さない」としている。しかも、今回は自民党として同じ内容の決議をしており、はるかに重みは増している。そもそも、現在諸外国と交渉中の案件について「脱退も辞さない」を『公約』にすることは、普通はしないのではないか。
そして、肝心なことは、いざとなれば決議を理由に批准を否決できるということで、いわば党と、政府の立場を使い分けているとも言える。こういうことも外交交渉には必要だ。
安倍総理は竹中平蔵の言いなりだという人がいる。もし、そう思うのなら前回の参院選と今回の公約を比べてみればいい。いかに自民党が一貫した政策を訴え続けてきたかが分かるはずだ。幸か不幸か、政権を担える政党は自民党しかないのである。
(以上)
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1 ■鋭い指摘ですね
『 安倍総理は竹中平蔵の言いなりだという人がいる。もし、そう思うのなら前回の参院選と今回の公約を比べてみればいい。いかに自民党が一貫した政策を訴え続けてきたかが分かるはずだ。 』
全く同感です。そもそも、小泉竹中時代は、竹中は大臣職に就いてました。しかし今はただの民間議員です。一方で、藤井教授は内閣参与です。発言の重みがまるで違います。
それを証明してるのが、国土強靭化に関する記載の圧倒的な増加です。竹中に影響力があるならば、もっと構造改革的な政策が増えていないとおかしいですね。
TPPの脱退を辞さないは、J-ファイルに記載されただけで大成功なんですが、元々公約にすらなかったものを格下げという連中がいます。
彼らの脳内構造は理解できませんね。