秘密保護法:自民PT、監視機関の検討開始 罰則など焦点

毎日新聞 2014年02月05日 21時25分(最終更新 02月06日 00時29分)

欧米各議会における秘密情報の監視システム
欧米各議会における秘密情報の監視システム

 国家機密の漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法を巡り、自民党のインテリジェンス・秘密保全等検討プロジェクトチーム(PT、座長・町村信孝元官房長官)は5日、同法の運用をチェックする国会の監視機関について本格的な検討を始めた。政府の恣意(しい)的な秘密指定を防ぐため、行政に秘密を提供させる権限や情報漏えいした議員への罰則などが焦点。ただ、監視機関のあり方には公明党など各党と温度差もあり、12月までの制度設計には紆余(うよ)曲折がありそうだ。

 PT会合の冒頭、中谷元元防衛庁長官が1月中旬に超党派で米英独3カ国の議会を視察した結果を報告。3カ国とも、主な役割は情報機関の監視だと説明した。これに対し、町村氏は「情報機関がない日本が国会に常任委員会を作るのは、バランスを失している」と、監視機関の新設自体に慎重な考えを示した。

 国会の監視機関設置は、同法が成立した昨年の臨時国会で、行政による秘密の無制限な拡大への懸念が相次いで指摘されたことが議論の発端だった。野党だけでなく、自民党内にも設置に前向きな声があり、町村氏が監視機関設置自体に慎重な考えを示したのに対し、中谷氏は「各党の話し合いで決める」と述べるにとどめた。

 特に焦点になるのが国会による秘密の閲覧権限だ。米英独では議会が必要に応じて秘密を閲覧できるが、主な任務ではなく、自民党内では「全ての秘密をチェックするのは物理的に無理」との声が強い。ただ、同党が同法への批判をかわすために国会の監視を強調してきた経緯もあり、秘密のチェックを条件に同法を認めた日本維新の会などとの間で、秘密提供の規模や情報の保護策などを巡って綱引きになりそうだ。【小山由宇】

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