VW新型「ゴルフ」試乗Vol.1
フォルクスワーゲン新型「ゴルフ」(ゴルフ7)試乗Vol,1
New Golf TSI Comfortline Test Drive
最初に試乗をした新型「ゴルフ」(ゴルフ7)は、New Golf TSI Comfortline(コンフォートライン)。現在、3グレード選択できる新型「ゴルフ」の中で、中間グレードを担う。エンジンは、ベースグレードのNew Golf TSI Trendline(トレンドライン)と同一で、DOHCへ変更された1.2Lエンジンは、歴代「ゴルフ」最高の21.0km/ℓ(JC08 モード)の省燃費性を誇る。試乗会場は、富士山の麓で行われたため、このNew Golf TSI Comfortline(コンフォートライン)は、ワインディングを中心に試乗を敢行した。
■エクステリア解説■
「ゴルフ6」の全高1485mmから、新型「ゴルフ」は1460mmへ車高は抑えられた。全幅もついに1800mmとなり、Golf TSI Comfortline(コンフォートライン)でも、車格が上がった印象。
特徴的なヘッドライトユニットは、前衛的なスタイリングに一役かっている。
新型「ゴルフ」でも、らしさは健在。上質感も大幅にアップした。
新型「ゴルフ」の全長は、4265mmと延長された。(「ゴルフ6」は4210mm)また、ホイールベースも60mm延長され2635mmとなった。
エッジの効かせたヒップラインは、これまでに無かったエクステリアデザインといえる。Golf TSI Comfortline(コンフォートライン)のエキゾーストエンドは、助手席側にシングル出しとなる。
Golf TSI Comfortline(コンフォートライン)は、前後共に前後ともに205/55R16を装備する。ブレーキ系統も一新され、フロントキャリパーもディスクローターに沿うような形状を採用し、大型化された。
リアもディスクブレーキを採用。ブレーキキャリパーは斜め上部に装着されている。
1.2Lエンジン搭載車の場合、リアサスペンションは、トレーリングアームのシンプルな構造のものを採用。メーカーは独「ザックス」製である。
■灯火類解説■
Golf TSI Comfortline(コンフォートライン)はバイキセノンランプはオプション。(取材車には、装備)LEDポジションランプは未設定で、ご覧のとおりスモールランプは、ハロゲン式で内側2灯が点灯する。ライトユニットの造型は凝っており、Golf TSI HighlineのようなLEDポジションランプがセットされているかのように見える。
バイキセノンランプ点灯。点灯と同時に中央側のハロゲン球を使ったポジションランプは消灯する仕組み。バイキセノンランプの青白い光とハロゲン球のアンバー色が混じる事がないニクい演出だ。また、ライト内のアクセントが反射して、浮かび上がり、点灯した姿はカッコいい。
ターンシグナルは、ライトユニット下部が広範囲に照射され、視認性は高い。こちらも、ハロゲン球を使用している。(日本未導入のGTIは、LEDという噂も。)
■新設計1.2Lエンジン■
直列4気筒DOHC16バルブインタークーラーターボ1197cc。最高出力105ps(77kW)/4500~5500rpm、最大トルク17.8kg・m(175N・m)/1400~4000rpmを発揮する。エンジンそのものには宝飾がほとんどされておらず、「ゴルフ5」あたりが最も見せるエンジンだった事が分かる。
新型「ゴルフ」のために一から新設計されたエンジン。メンテナンス性にも優れ、エンジンの役割部位が一目瞭然で分かるほど。
■インテリア解説■
Golf TSI Comfortline(コンフォートライン)のコクピットは、シルバーを基調をしたもので、室内は明るい印象を受ける。新型「ゴルフ」は、これまでの例にならい質感は非常に高いものだ。
1.2Lエンジン搭載車のエンジン始動は、従来どおり、物理キーによって行う。
たっぷりとした座面をもつシートは、大陸的な距離を走行する事を想定して製作されている。掛け心地は固め。この位置からでもセンターコンソールがドライバー側にオフセットされているのが確認出来るだろう。(「ゴルフ」では初となる。)
メーター類も新設計。独「VDO」社製を採用している。「ゴルフ6」に比べ、繊細なデザインとなり、全てのモデルは260km/h表記となる。
エンジンを始動させると、白色LEDによる常時点灯式で周囲の明かるさを感知して無段階に照度をコントロールする。センターのマルチファンクションディスプレイは日本語対応となり、さらに視認性が向上。写真では平均燃費が表示されているが、ワインディングをハイスピードで走り込んでも、12.0Km/Lを記録するのは驚きだ。
インテリアの最大の進化は、全車標準装備の5.8インチ「CompositionMedia」。CD/MP3/WMA/FM/AMなどをはじめ、ハンズフリーフォンにも対応。また、スマートフォンのように直感的に操作が可能で、車両の様々な設定もこの画面にて行える。
従来は、メーター内に表示されていた燃費情報もこの「CompositionMedia」にグラフィカルに表示。
ルームランプの照度などもタッチパネルにて無段階に調整できるようになった。
ライト設定なども、非常に詳細な設定が可能となっている。複雑そうに見える操作であるが、初めてでも直感的に操作が可能だ。
2ゾーンフルオートエアコンを装備。ダイアル形状のスイッチはブラインドタッチも容易。
7速DSGトランスミッションのレバーやロジックも一新された。Golf TSI Comfortline(コンフォートライン)はステアリングに設置されたパドルシフトでも、電光石火のシフトが可能だ。
新型「ゴルフ」からは、機械的なサイドブレーキレバーは姿を消した。エレクトロニックパーキングブレーキは、オートホールドモードも備え、発進と同時に自動的にロックを解除する。
■インプレッション(短評)■
今回の試乗では、現在のところ国内最上級モデルであるNew Golf TSI Highlineの試乗も行ったが、こちらは、Vol,2でお伝えするとして、日本市場では、最も売れるであろうNew Golf TSI Comfortlineを最初に試乗した。試乗時間はたっぷりあったため、東名高速にも足を伸ばす事が出来たが、車体重量1240kgという軽量なボディと、リア4リンクを採用せず、シンプルなトレーリングアーム式のリアサスペンションを試すためにあえて、ワインディングを選んだ。
New Golf TSI Trendline、New Golf TSI Comfortline共にエンジンは、新設計の直列4気筒DOHC16バルブインタークーラーターボ。従来どおり、物理キーを差込みエンジンを始動すると、軽快なサウンドが心地よく響く。電子制御化されたサイドブレーキを解除し、静かにアクセルを踏むと新設計エンジンの違いは明らかで、上質を保ちながらもグイっと押し出されるように発進した。従来のSOHCからDOHCに刷新され、同時に1,400rpmという従来より低い回転域から最大トルクを発生させるため、同排気量の「ザ・ビートル」よりさらに活発な印象を受ける。オープンロードに出ても流れをリードする事などハーフスロットルで十分。またこのエンジン、カタログ上でのトルク曲線は典型的な台形型なのであるが、まずは低速域でグイッと来て、さらに4000rpmという中高回転域でもう一度パンチが存在する。そのため、この回転域を「DSG」を積極的にシフトしてキープすれば、「シューン」というターボのホイッスルと共に、かなり活発に走らせることが出来る。
気になるのは、シンプルなトレーリングアーム式のリアサスペンションだが、これがすこぶるいい。多少ばたつき感もあるが、とにかく新型「ゴルフ」の上質感を失わない。正直に比べれば、“猫足”的なGolf TSI Highlineが採用するリア4リンクサスペンションのしなやかさには適わないが、これを知らなければ、十分上質で挙動も終始安定志向である。
人里離れたワインディングにて攻め込んでも、ロール、ピッチングも見事に抑え込まれ、205/55R16タイヤのスキール音を聞く事は一度も無かった。電子デバイスが介入しなくとも、車両限界の大幅な向上は十分確認できた。山坂道をロックtoロック2.5回転のクイックなステアリングを武器に楽しめるのは、Golf TSI Comfortlineの方である。もう一度、同車の広報車両を借用し、じっくり数日掛けてインプレッションを敢行するつもりだ。
スタート/ストップ機能は、更に進化しており、気がつかない間にエンジンが停止し、ブレーキから足を浮かすと素早くエンジンが始動する。この一連の動作は、上級のGolf TSI Highlineよりスムーズだ。
新型「ゴルフ」をオススメするとしたら、Golf TSI Comfortlineだ。数々の電子デバイスを併用した世界最高の圧倒的な安全性能、100%エコカー減税、ゴルフ史上最高燃費であるリッター21km/L(JC08)を実現・・・・など数え切れない魅力を詰め込んだクルマだ。
関連記事:
新型「ゴルフ」Golf TSI Highline(ハイライン)試乗記
http://s-togawa.blog.so-net.ne.jp/2013-06-11
新型「ゴルフ」実車詳細情報
http://s-togawa.blog.so-net.ne.jp/2013-05-22
新型「ゴルフ」プレス発表会レポート
http://s-togawa.blog.so-net.ne.jp/2013-05-21
フォルクスワーゲン グループ ジャパン株式会社 http://www.volkswagen.co.jp/