上野千鶴子氏が語るこれからの格差

2012年7月9日

日経WOMAN Networkingフォーラム2012レポート

 『日経WOMAN』と『日経ウーマンオンライン』による、働く女性の学びと交流イベントも4回目を迎えた。今回は「「磨く」「輝く」オンとオフをいっそう知的に生きる働く女性のための学びと出会いの場」と題し、2012年7月1日に行われた「日経WOMAN Networkingフォーラム2012」から、基調講演とトークセッションの様子をレポートする。

 基調講演のトップバッターを飾ったのは立命館大学教授の上野千鶴子さん。テーマは「女たちのサバイバル作戦〜カツマーとカヤマーの間で」。

 上野さんは、女性学、ジェンダー研究のパイオニアのひとり。2011年からはNPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)の理事長も務める。サントリー学芸賞を受賞した「近代家族の成立と終焉」(岩波書店)をはじめ、著書も多数。2012年年初に発表された学術や芸術などで傑出した業績をあげた個人や団体に贈る2011年度朝日賞を受賞した。

 最初の基調講演にふさわしい女性の社会進出について力強いプレゼンテーションを繰り広げた。「グローバリゼーションとデフレスパイラルのもとで進められたネオリベ(ネオリベラリズム)改革により、働く女性の置かれた状況はむしろ厳しくなった」と、女性の社会進出とその裏側にある“本当の問題”を説いた。

 1985年の男女雇用機会均等法と同時に労働者派遣事業ができ、派遣社員としての女性雇用が一気に増え、1999年に男女共同参画社会基本法が施行されたころには、男女平等ムードは高まる一方だった。しかし、上野さんいわく「これは企業が機会均等を隠れ蓑にした男性に都合のよいルールに過ぎない。非正規社員が増えれば正規社員より低い給料で多くの労働力を確保できる。『結婚や子育てが前提』の女性を使い捨て労働力とみなしているだけ」。つまり、本当の意味で男女格差が埋まったわけではない、という。

関連記事

関連キーワードから記事を探す
キャリアアップ

Topics

CloseUp

WOL Selection

PAGE TOP

Pickup

Focus

最新刊のご案内

  • 仕事を楽しむ 暮らしを楽しむ
    日経ウーマン 3月号

    気づけばいつもお疲れ気味…。そんなことありませんか?
    日経ウーマン3月号は「働き続ける女性の体と心の不調を解消」がテーマ。日々の疲れを上手にリセットして、元気な体と心を手に入れる方法を大特集します!さらに、消費増税に備え、賢いお金遣いを身につける特別企画、「貯め上手は『お金の使い方』が9割」も見逃せません!

  • もっと健康に、もっと美しく
    日経ヘルス 3月号

    マッサージとヨガは、どちらも体へのアプローチでありながら心も癒やすことが分かっています。イライラやうつうつを消し、ストレスから来る体の不調を軽くして、心と体を健康に保つサポートをしてくれます。簡単なのにストレスにすぐ効く、続けるとストレスに強くなれるメソッドを紹介します。

  • 年齢を重ねて、もっと美しく!
    日経ヘルスプルミエ 冬号

    のぼせ、イライラ、うつうつ… 女性の人生の中で、体が大きく変わる時期が更年期。これまで体を守り続けた女性ホルモンが激減するときです。女性ホルモンの減少自体は止められなくても、しっかりケアしておけば体も心も大丈夫!女性ホルモンの悩みをすべて解決します!

働く女性 必読の書

おすすめ本日経ウーマンの本日経ヘルス&プルミエの本

もっと見る

キャリア&スキル
就職・転職
働き方
副業
お仕事術
コミュニケーション術
資格・語学
マネー
PC・スマホ
教養・マナー
ウーマン・オブ・ザ・イヤー
ヘルス&ビューティ
ダイエット
カラダの悩み・病気
メンタルヘルス
健康レシピ・食材
メイクアップ
スキンケア
健康知識
ライフ
恋愛・結婚
人間関係の悩み
お買い物・節約術
整理・収納
ファッション
グルメ
エンタメ
旅行・お出かけ
暮らし方

日経BP社の書籍購入や雑誌の定期購読は、便利な日経BP書店で。オンラインで24時間承っています。