『日経WOMAN』と『日経ウーマンオンライン』による、働く女性の学びと交流イベントも4回目を迎えた。今回は「「磨く」「輝く」オンとオフをいっそう知的に生きる働く女性のための学びと出会いの場」と題し、2012年7月1日に行われた「日経WOMAN Networkingフォーラム2012」から、基調講演とトークセッションの様子をレポートする。
基調講演のトップバッターを飾ったのは立命館大学教授の上野千鶴子さん。テーマは「女たちのサバイバル作戦〜カツマーとカヤマーの間で」。
上野さんは、女性学、ジェンダー研究のパイオニアのひとり。2011年からはNPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)の理事長も務める。サントリー学芸賞を受賞した「近代家族の成立と終焉」(岩波書店)をはじめ、著書も多数。2012年年初に発表された学術や芸術などで傑出した業績をあげた個人や団体に贈る2011年度朝日賞を受賞した。
最初の基調講演にふさわしい女性の社会進出について力強いプレゼンテーションを繰り広げた。「グローバリゼーションとデフレスパイラルのもとで進められたネオリベ(ネオリベラリズム)改革により、働く女性の置かれた状況はむしろ厳しくなった」と、女性の社会進出とその裏側にある“本当の問題”を説いた。
1985年の男女雇用機会均等法と同時に労働者派遣事業ができ、派遣社員としての女性雇用が一気に増え、1999年に男女共同参画社会基本法が施行されたころには、男女平等ムードは高まる一方だった。しかし、上野さんいわく「これは企業が機会均等を隠れ蓑にした男性に都合のよいルールに過ぎない。非正規社員が増えれば正規社員より低い給料で多くの労働力を確保できる。『結婚や子育てが前提』の女性を使い捨て労働力とみなしているだけ」。つまり、本当の意味で男女格差が埋まったわけではない、という。