ヤマネ:宇宙の寝心地は?…ISSで冬眠実験へ

毎日新聞 2014年02月06日 10時58分(最終更新 02月06日 12時40分)

冬眠から目覚め、活動し始めた直後の野生のヤマネ=やまねミュージアム提供
冬眠から目覚め、活動し始めた直後の野生のヤマネ=やまねミュージアム提供

 八ケ岳山麓(さんろく)に生息する国の天然記念物、ヤマネを国際宇宙ステーション(ISS)で飼育する計画が進んでいる。冬眠時に体温を0度近くまで下げ、覚めるとすぐに活発に動く特異な性質を無重力下でも調べ、人類の長期の宇宙滞在に生かす狙いだ。人工冬眠しながら宇宙旅行−−。小さなヤマネがSFのような夢を開くかもしれない。【春増翔太】

 石原昭彦・京都大教授(宇宙医学)▽「やまねミュージアム」(山梨県)館長の湊秋作・関西学院大教授(動物行動学)▽宇宙航空研究開発機構(JAXA)の石岡憲昭教授−−らの研究グループ。人が宇宙に長期滞在する際、無重力状態が体に与える影響が大きな課題になっている。重力の負荷がないため、次第に筋肉が萎縮し、骨密度も減ってしまうのだ。

 ヤマネは成体でも体長8センチ、約20グラムの小型哺乳類。体温を0〜5度に下げて冬眠し、飲まず食わずで半年間眠り、目覚めると元通りに動き始める。筋肉や骨を保つ仕組みを持つとみられ、研究グループが注目した。

 JAXAは2015年冬にISSの実験棟「きぼう」に設置する小動物実験装置を打ち上げる。これでヤマネを宇宙に運び、無重力で冬眠するか、冬眠前後の体の状態はどうかなどを調べる予定。

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