(この話は外伝から続いています)
誰かが置いていったドリンクを一気飲みして元気を付けたライーザは、次の日、エリアスの頼み事を聞いていた
「ライーザ~お願いがあるんだけど…いいかな?」
「何?」
「ベリオロスの素材が欲しいんだけど…一緒に行ってもらえない…かな…」
断られる事を覚悟して聞いてみる
「良いわよ、行きましょう」
エリアスはまさか快諾してくれるとは思わず、ポカンと口をあけている
「行かないの?」
「いや、行く行く!」
ライーザは大剣ではなく双剣を背負っていた…
「ライーザ…やっぱり使うのね…双剣…」
「うん…でももしもの時は頼んだわよ…」
「うん、分かった」
「受注する前に風呂に入らない? ゆっくりとさ」
「そうね…ゆっくりと入りましょうか…」
「さてと…そろそろ出ましょうか…」
「待ってエリアス……」
「どうしたの?早く行きましょうよ…」
「………のぼせた……」
「大丈夫?…掴まって」
「ごめん、エリアス」
「いいのよ、このくらい」
ライーザはエリアスに掴まりながら何とか風呂から出て少し涼み…
「…もう大丈夫よ、心配かけたわね」
「じゃあ受注しますか!」
「すいませ~ん、ベリオロスのクエストって有りますか?」
「えっと…ベリオロスですね…先ほど別の方が受注されましたよ? 今、温泉から出てきたあの方です」
2人は振りかえって温泉の方を見ると…
「「…あ」」
そして…受注した本人も…
「…あ」
そして周りが賑わう中3人は無言になる…
そんな気まずい空気をライーザが壊した
「貴方!この前はよくも私達の獲物に手を出してくれたわね!」
「あぁ、ごめんごめん、たまたまジンオウガに遭遇しちゃってさ…少し攻撃しながら逃げたんだよ…」
「その割にはかなりの数の弓の残骸が落ちていたけど?」
「…………」
「ところでさ、今貴方が受注してるクエスト同行させてもらえないかしら?」
「……別にいいけど…そういえば君の名前聞いてなかったね…」
「私はライーザ…でこっちがエリアスよ」
「ライーザにエリアスか…僕はシオンって言うよ、ヨロシクね」
そういうとシオンはウインクをした。
「……………」
「じゃあさっさと行きましょうか…行くわよエリアス!」
「……………」
「どうしたの…ボーッとして」
「……………」
「エリアス!おーい」
「………あ、何?」
「何じゃないわよ、ボーッとして…どうしたの?」
「ごめんごめん何でもないの…」
「そう…なんかおかしいわよ」
「なんでもないから!」
「あの…そろそろ行かないか?」
「ごめんなさい…シオンさん」
「大丈夫だよ…エリアスちゃん」
シオンは再びウインクする…
「……………」
「エリアス~おーい」
「……………」
ライーザはエリアスの目の前で手を叩いた
「わっ!何?」
「どうしたのよ貴方、さっきからボーッとしてばっかりで」
「なんでもないの…」
「シオン!先に荷台乗っててもらえる?」
「あぁいいよ、早くしなよ?」
「すぐ行く~」
「……………」
「エリアス、貴方…」
「何?」
「……まさか…シオンに惚れた?」
「いやいやいやいやいやいや」
ものすごい勢いで首を横に振る
「図星みたいね…ハァ」
「違うからホント違うから」
「もぅいいわ早く行きましょ」
……2人はシオンの待つ荷台に乗り、狩場へと向かうのだった
「ライーザは双剣使いなのかい?」
シオンは唐突に質問を浴びせた
「ええ…そうよ」
「懐かしいなぁ双剣…」
「シオンも双剣使ってたわけ?」
「僕がまだ他の地方でハンターやってた頃の話なんだけど…その頃は双剣を使っていたんだ」
「へぇ…じゃあ何で弓使っているの?」
「双剣は身体への負担が大きいからさ…」
「別に強走薬飲めばそんな負担なんてあまりないと思うけど…」
「そうか…君はアレを知らないのか…」
「アレ?ってなに?」
「【真・鬼人化】だよ、僕の前居た地方だけに伝わる技なんだ」
「何よ…それ…」
「鬼人化状態からさらに集中力を高めるんだよ、そうする事で身体にはかなりの負担がかかるけど…さらに素早く動く事が出来るよ」
「今度教えてくれない?」
「いいぜ」
そんな会話をしている内に凍土に到着した…
見渡せば無数の氷山が並ぶ極寒の地でベースキャンプの下には以前エリアスが怪我をする要因を作った小川が流れている…小川には魚が泳いでおり、そこの魚の中には狩猟に役立つ魚も居れば、高価で取引されるような魚もいる…凍土ならではの魚ももちろんいる…
「久しぶりに来たわ~やっぱり寒いわねぇここは」
「そういえばこの前怪我した時はライーザに小川に突き落とされたんだっけ~で凍傷になって受け身が取れなくて…」
「過去の話なんて忘れましょ!」
「話逸らしたわね…」
「それより早く行こうよ…」
「そうね、シオンはここには来た事あるの?」
「何度も」
即答である
「じゃあホットドリンク飲んで出発しましょうか」
「あ…ホットドリンクが無い!」
「また忘れたの?…支給品もまだ届いてないと思うわよ?」
「忘れたの?仕方ないなぁ…僕のホットドリンク分けてあげるよ」
「あ…ありがと」
「口移しで飲ませてあげようか?」
「…………(ブンブンブンブン)」
顔を真っ赤にして思い切り首を横に振るエリアスに、シオンは…
「そうか…じゃあ、はい」
渡されたホットドリンクを飲み…
「じゃあ行きましょうか」
3人はベースキャンプを発った
ベリオロスを探してエリア2に来ていた
「……ここにも…居ないわね…」
「ん~洞窟の中かな?」
「でもさっき行ったけど居なかったじゃない」
「あ…」
「どうしたの?エリアス」
「あれ!」
見上げるとベリオロスが降りてきた
シオンはすかさず弓に強撃ビンを装着し、力を込めて弓の弦を引き絞る
エリアスもクルペッコのハンマーを背中から取り、力を込めた
…がライーザだけは何もしなかった…
シオンは弓の弦がはち切れそうな程まで引き絞ると、真上に向けて曲射を放った
エリアスは最大まで力を貯めるとベリオロスの着地地点にハンマーを振り下ろした
ライーザはようやく動き出し、ベリオロスに切りかかった
だが、ライーザの動きはおかしかった…何というか一回切っては逃げる一回切っては逃げるという風に…
そんなライーザの動きをエリアスは横目で見ていた
「シオンさん!ライーザ!一回引きましょう!」
「何で?まだ戦い始めたばかりだろ?」
「理由はのちのち話します!」
エリアスはペイントボールをつけ、エリア3へと退避した
エリア3に来るとエリアスは…
「貴方、まだ躊躇っているの?」
「……うん」
「どうしてよ!大剣を使ってる時みたいに闘ってよ!」
「無意識の内に鬼人化して貴方達を傷つけてしまったら…私、貴方達に顔向けが出来ないもの…」
「しっかりしなさい!貴方には私たちがついてる!貴方が暴走した時は全力で止めてやるわよ!」
「エリアス……」
「あのさ、そろそろ俺にも説明してもらえないか?」
「後で説明するわ、今は狩に集中するわよ!」
そのような話をしていると、上空に大きな影が横切った…
「あちらから来てくれたみたいね…さぁ!本気だすわよ!」
「エリアス、シオン、お願い、他のエリアに行っててもらえない?」
「……やるのね」
「…ええ」
「シオンさん、私と一緒に採取に行きませんか?」
「え?でもライーザが……」
「いいから行きましょう、来てください!」
「そこまで言うなら…」
エリアスはシオンの腕を引っ張りながらエリア1に行った
そして2人の姿が見えなくなった頃…ベリオロスが降りてきた
(……ズシン!)
「さてと…これを飲むのは久しぶりね…」
そう言ってポーチから強走薬グレードを取り出す…そして一気に飲み干した…
「さてと…」
ライーザは集中力を高めて鬼人化をした…するとライーザの人格が変わり…鬼人ライーザになった
「……キリキザンデヤル」
その鬼人ライーザにベリオロスが襲いかかってきた!
「……マズハオマエカラダ」
ベリオロスの突進を素早い横移動で避け、見えない位の速さで次々と斬撃を繰り返した
するとベリオロスは小さく飛び上がり方向転換すると、巨大な身体で突き飛ばそうとしてきた。
鬼人ライーザは逃げるのではなくベリオロスの尾の下に潜り込み攻撃を避けると数えきれない位の手数で攻撃した
するとベリオロスは上を向いて凄まじい方向をしてきた。
「……ウルセェナ」
鬼人ライーザは怯む間もなく切りかかった
ベリオロスの身体からは大量の血が流れ出す
だがベリオロスもやられてばかりではなかった…
上空高いところまで飛び立つと鬼人ライーザ目掛けて突っ込んできたり、突進をしてきたりと反撃してくる…のだが鬼人ライーザは全てをいとも簡単に避け何度も切りかかった。
しばらくするとベリオロスは高くに飛び上がりエリア移動をした…
だが鬼人ライーザは強走薬グレードの効果が切れ、スタミナ切れで通常の人格のライーザに戻ってしまった…
「……私は…どうして…ここに…もう…動けないわ…寒いし…眠くなってきたわ…」
その頃ベリオロスに付けたペイントボールの匂いが移動したため、エリアスはライーザの様子を見るためにエリア3に行こうとしていた…
「シオンさん、採取はそろそらきりあげてライーザの所に行きませんか?」
「もう少し採取させて~」
「じゃあもう少ししたら行きましょうか…」
エリア3に戻ったエリアスはライーザを探すが見当たらず…
「ライーザ~!!ライーザ~!!」
「どこ行ったのかな?」
「ベリオロスを追いかけて行ったのかな?」
「どうだろ?」
2人は少し周辺を探した後、ベリオロスの匂いを追って移動をしようとした…その時、シオンが少し柔らかいような物を踏みつけた
「?? 何だろ?」
「どうかしたの?シオンさん」
シオンは降り積もった雪を掻き分けて、顔を真っ青にして叫んだ
「ライーザ!!おい!大丈夫か!?しっかりしろ!!」
「どうしたの?…ライーザ!?」
なんとライーザが力尽きて倒れ、雪に埋まっていたのだ
身体は冷え切り、所々凍傷になっていた。
「直ぐにキャンプに運ぼう!モドリ玉を使うぞ!」
3人の身体を緑色の煙が包み込む…そしてキャンプに移動した…
「………うぅ………ここ………は……?」
「大丈夫よ、ここは凍土のキャンプ、まだ寝てるといいわ」
「さっき……眠くなって……眠っちゃって……」
「貴方、私たちが見つけなかったら凍死してたのよ?」
「ごめん…また心配かけちゃって…」
「大丈夫…まだ寝てて」
「あ!ベリオロス!狩に行かなきゃ!」
そこにシオンが帰ってきて…
「そのベリオロスなら立った今倒して来たよ」
「シオン…」
「いい加減話してもらえないか?」
「帰りの荷台で話すわ…」
帰りの荷台にて…
エリアスがライーザの代わりに全てを話した…
「そうか…そんな事が…辛い事を思い出させてしまったね…すまない」
「こっちこそ貴方に隠していてごめんなさい」
「ライーザ、君の過去を知った今、あの技を教えるのはやめようと思う……君には危険だ、君自身が耐えきれないだろう…」
「興味はあったけど…残念ね」
「君はまだ凍傷が治りきった訳ではないだろう、しっかり療養することだ」
しばらくするとユクモ村に着いた。
ユクモ村に帰ってくるとライーザは自宅に運ばれた
ただ、比較的軽度の凍傷だったため、直ぐに治った
そして翌日ライーザは2人にお礼を言おうとして先ずシオンの家を訪れた…
「シオン、入るわよ?」
(………)
返答が無い
「留守なのかしら? まぁいいわエリアスの所に先に行きましょうか…」
エリアス宅前
(ガラガラガラ)
「物音がするわね…エリアスは居るのね…入るわよ~エリア…ス」
ライーザがエリアス宅に入った瞬間言葉を失った
シオンとエリアスが接吻していたからである
「あ…あ…貴方達!?昼間から何やってるのよ!!」
「ラ…ライーザ…これには深い訳が…」
「エリアスさんに押し倒されました…はい」
「シオンさん!?それめちゃくちゃ誤解招くから!!」
「エリアス?ちょーっといいかしら?」
「ほらぁ拷問フラグぅ」
相変わらずである
「いやぁそれにしてもエリアスがここまで積極的な女性だとは思わなかったよ~」
「え?それどういう…」
「だってベリオロス狩に行った時も俺の手を引いて採取に誘ったし、さっきも転ぶ素振りでさりげなく接吻してきたし…」
「さっきのはマジで転んだだけで…別にしたいとは思ってなかったのよ!!しかもこんな奴なんかに私のファーストキ…」
エリアスは顔を赤らめて黙り込んでしまった
「よく言うわよ…始めて会った時なんか、貴方シオンにときめ…ムグゥ」
「キャーそれ以上言うなーー」
「こんな奴なんて失礼な…」
「あ…ごめんシオンさん…気分悪くしないで…」
「いいよ、これからも仲良くしようね」
「うん!」
「それはそれでいいんだけど…」
「ん?」
「ライーザが君の手の中で苦しそうにもがいてるんだけど…」
「え?」
エリアスが見るとライーザが息が出来なくて苦しそうにもがいていた
「ごめんライーザ!」
手を話すとライーザは力を失ったようにクネクネと倒れこんだ
「ほら、大丈夫か?」
そう言って手を差し出すシオン
「ええ、ありがとう」
しばらくは賑やかになりそうである
【あとがき】
皆さんこんにちわ、toaruloveです
今回から小説の内容を少し長くしようと頑張る事にしまして、投稿に時間がかかりました…
今回もこの様な短編小説を読んでいただきありがとうございます
こういう小説書いててネタが尽きちゃうとホントに何も書けなくなっちゃうんですよね~
そういう時ってなんか寝てる時にネタ思いついてで書くんですけど…翌朝になるとどんなネタを思いついたか忘れて居る事が大半なんですよね~ダメですこんなんじゃ
今回から登場人物を一人増やしました!
しばらくはライーザ・エリアス・シオンの3人での話を書いていこうと思います
さて次回予告ですが…
次回はウラガンキン亜種を書いていこうと思います!
乞うご期待!!
次作、ベリオロスは明日29日水曜日の昼の12時公開予定です