まだエリアスの怪我が完治しない頃…エリアスの見舞いにドンドルマから来ていた姉のアリエスは、ライーザと一緒に、ナルガクルガとイビルジョーを狩った…その時の話である
ライーザが双剣を使わないのを不思議に思ったアリエスはユクモ村に戻ったあと、ある場所を訪れていた…そこは入るとすぐ脇に滝があり、作物を育てたり、ハチミツが採取出来たり、魚を取ることも出来る…そう農場だ
農場にはライーザのオトモアイルーが居た…アリエスはライーザの過去を知るべくここを訪れたのであった
「誰だニャ?」
「旦那様かと思ったニャー…」
「あら貴方たちライーザとは狩には出てないの?」
「旦那様は僕らを連れて行ってくれないのニャー」
「おかげで寂しいニャ」
「ねぇ、貴方達…ライーザが何で双剣を使わないか…知ってる?」
「「!?!?」」
驚きを隠せないライーザのオトモアイルー達…
「そのことは旦那様から誰にも言うなと言われているのニャー」
「教えてくれないかしら…」
「ダメだニャー」
即答である
「そっかー残念だな~せっかくこれ持って来たのに…」
そう言ってアリエスはマタタビをぶら下げる
「…そ…そんなの反則ニャー」
「…く…くださいニャ!」
「じゃあ話してくれるかしら?」
「……わかりましたニャー…」
「じゃあ…はい」
そう言ってアリエスがマタタビを放り投げると見えない様なスピードでマタタビを取り匂いを嗅いでいる
「じゃあ話しますニャ」
これはライーザが自分のオトモにだけ話した話だ
時は遡ること10年前…ライーザがハンターになり2年くらいが経とうとして居た頃、ライーザは加工屋に頼んで作ってもらっていた製作の難しい双剣が出来たと聞いて、風邪を引いていたのにも関わらず、加工屋にダッシュして行き加工屋から受け取った
ライーザは使って見たいの一心で採取クエストを受注し、出発した
新しい双剣を担いで散策をしているとジンオウガに遭遇した…当時のライーザはジンオウガなら何とかなる程度の実力はあったのだが風邪を引いていた為か全く調子が出ず、ジンオウガの攻撃を受け、ボロボロになったそうだ…そして運悪く捉えられてしまったそうなのだ…
そして食われかけたそうだ…恐怖心しかなく…
気がついたらユクモ村の集会浴場に寝かされて…ギルドマネージャーはすごい剣幕で、村長は唯々心配そうに見つめる…
「……ギルドマネージャー…何があったのですか?」
「何があったって、チミは何も覚えていないのかね?」
「何も…とは…そういえば…風邪のせいかな…調子が出なくてジンオウガにやられちゃった様な…」
「!?」
「本当に覚えていないのかね!?」
「何がですか?」
「村長…これは危険過ぎる…彼女の持っている双剣を全て預かってくれ…」
「!?!?…何でですか!?」
「覚えてない様だから言うがの…ギルドが迎えに行ったら…チミは数多くのモンスターを倒してしまっていたのじゃ…ガーグァやケルビなども本当に数少なくなってしまった…」
「私!やってないです!」
「そうは言うがの…あの時に渓流に行っていたハンターは何処の地域を聞いて回ってもチミしか居ないのじゃよ…あの時に渓流に行っていたハンターは…」
ライーザには信じられなかった…その後自宅に戻ると、すでに双剣は全て無かった…
「と言うのが僕らが聞いた話ニャー」
「なるほどね…少しギルドマネージャーと話をしてみますか…」
「と言う訳なんですが…その時のことを覚えていらっしゃいますか?ギルドマネージャー…」
「よく覚えとるよ…しかし仕方なかったのじゃ…」
「一度彼女に安全な場所で双剣を使わせてみてはいかがでしょうか…」
「そうじゃの…検討しておく」
「分かりました…では私はもうそろそろドンドルマに戻ります…」
「…気をつけてな…」
アリエスはエリアスの家に行き、エリアスにも事情を全て話した
エリアスは驚きの余り俯いて
「そう…」
と言うだけであった
それから数日してアリエスはドンドルマに帰った…
エリアスの怪我が完治した頃2人は村長とギルドマネージャーの依頼でジンオウガを狩猟した…
これは2人が狩に行っている時のことである…
「ギルドマネージャー様…」
「おや村長さん、どうしましたかな?」
「以前お話しがあったライーザ様の双剣の話ですが…今出ている狩から帰ってきたら、試して見ませんか?」
「そうじゃの…では2人が帰って来たら、村から少し離れた辺りで行うとしよう…教官にも話を通してくれるか?」
「ライーザ~お疲れ」
「お疲れ、エリアス」
「じゃあ少し休むとしますか~」
「私は家に帰って寝るわ…」
「ライーザ様エリアス様少しよろしいですか?」
「村長さんどうしたのですか?…そのような深刻な顔をして…」
「ついて来てください…」
「?」
「待っていたよ…チミ」
「ギルドマネージャー!…教官まで…」
「皆さんどうしたんですか!?」
「今日はライーザ君に用事があってな…エリアス君は一緒に見ていてもらいたい…」
「エリアスは関係ありません!さぁエリアス、帰っていいから帰りなさい!」
「勝手に帰られちゃあ困るんだよ…」
「分かりました…一緒に居ます」
「さて…本題じゃが…教官…アレを」
「うむ…ライーザ、これを使ってみなさい」
「これは…」
ライーザは受け取ったユクモノ双剣を振り回してみせた…
「至って普通ですわね…」
「うむ…いいだろう、ライーザ、今度は鬼人化をしてみろ!」
ライーザは集中し、両腕をあげ鬼人化をした…瞬間、ライーザは倒れこんだ…
「ライーザ!!…なんてことさせるんです!ジンオウガ狩りでただでさえ疲労しているというのに…」
「それはすまなかったな、立てるか?ライ…」
次の瞬間、聞こえて来たライーザの声に一同が仰天した
「ナンダテメェラ、ゼンインキリキザンデヤロウカ?」
次の瞬間教官はライーザの双剣を奪い取ろうとしていた…が…
「…サセルカヨ」
そして鬼人ライーザは教官に切りかかった…
「俺の防具はその程度じゃ切れんぞ!」
(ガスッ)
「これは預からせて貰おう」
「……ッ………(ドサッ)」
「ライーザ!!大丈夫!?しっかりして!」
「気絶しているのか…そのままにしておけ…エリアス…君はライーザの過去を知っているだろうか?」
エリアスは答えなかった…
「…そうか…辛い思いをさせたな…すまなかった、今日は休んでいいぞ」
「……ッッ……ここは…私の家?……確か…村長に呼ばれて…」
「まだ寝てた方がいいわ…」
「エリアス!?」
「貴方、気絶したのよ…」
「そう…か…あの時と同じ…感覚…」
「あとこれ、村長さんから預かったわ、中身が何か知らないけど、かなりの大荷物ね…」
大きな金属音を立ててエリアスの持っていた袋は床に降ろされた
「エリアス、開けて見てもらえる?」
「いいわよ…これは…何本あるの!?」
「……私の…双剣……」
「手紙も入ってるわよ」
「(ライーザ様へ、貴方の双剣をお返ししますわ…ですが鬼人化する時は、必ず誰かと一緒にいてくださいまし…)」
「エリアス…ごめんね…」
「何が?」
「色々心配させちゃったみたいだから…」
「何言ってんのよ…私と貴方の仲でしょ…貴方が大変な時は何時だって居てやるわよ!」
「エリアス……」
ライーザはエリアスの言葉に泣き出してしまう…
「わわっ…何泣いてんのよ!…アンタが泣いたら…わ…たし…まで……」
エリアスまで泣いてしまい…
2人とも泣き疲れて眠ってしまった…
「寝顔可愛いなぁ…おっと今は急いでるんだった…これだけ置いてっとさっさと行かなきゃ…」
「…………ん?…寝ちゃった…ライーザ~夜だよぉ~」
「アンタその起こし文句はおかしいでしょ……あんたより先に起きてたわよ…」
「えへへ…」
「これ、何か知らないけど誰かが置いて行ってくれたみたい…飲みましょ」
「プハァ…やっぱ美味しいわねぇ…さぁ元気出たし!明日、朝から狩に行きますかぁ!」
2人の狩りは続くのであった…
【あとがき】
今回はライーザの過去に触れて行きました…自分でもツッコミいれながら書いていたのですが、何で本編より外伝の方が長いんですかね…次作から主人公増やそうと思ってます!ついに男性の登場です!次はベリオロスですね…乞うご期待!
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