14.01.31  中央委員長見解
14.01.28  籾井新会長の記者会見について
13.12.11  特定秘密保護法 成立
13.11.21  秘密保護法案について
09.02.25  公共放送への挑発行為に強く抗議する
08.06.18  「ETV2001」判決を受けて
08.04.03  国際放送をめぐる問題について
08.03.07  インサイダー問題を受けて議論を進めています
08.01.31  職員のインサイダー取引の疑いについて
06.11.07  「命令放送」電波管理審議会への諮問について
06.10.24  総務大臣の「命令放送」電波管理審議会への諮問について
 
 
14.01.31  中央委員長見解

 
  25日に就任した籾井会長が、31日に国会の予算委員会に出席を求められることになった。また週明けにも、国会への出席と答弁を求められる可能性がある。
 会長が国会、しかもNHK予算の審議ではなく、国政全般を議論する予算委員会での答弁を求められるのは異例中の異例だ。放送法はまさに、その趣旨において、政治など外部からの不偏不党等を保証し、主として放送局と視聴者の関係のなかで放送の表現の自由を確保することを求めている。その放送局、とりわけ公共放送局のトップが国会で異例の答弁を求められるという、NHKの運営に政治が強く関わる事態となったことは、今後の自主自立について禍根とならないか、危惧せざるをえない。

 NHKのガバナンスにも改めて議論が起きているが、組合として、民主主義に基づく正当な手続きで担保されている仕組みについて批判することはない。ただ、こういう事態となった今、経営には、「放送法の趣旨」を公共放送がどう受け止めて日々の業務にあたっているのか説明して、社会の理解を早急に回復する方策をとるよう求めたい。
 
 会長の記者会見でのさまざまな歴史観や見識といった「個人的な見解」はひとまず措くとしても、「不偏不党」という言葉の理解や、国際放送における放送の自由、放送局のみならず市民の「知る権利」に関わる特定秘密保護法への向き合い方などについて、公共放送がどのような姿勢をとるのか。取材・制作の現場にとっても視聴者にとっても最も根幹となるところをきちんと説明する必要がある。
  世論が大きく分かれる課題に直面している今の日本社会だからこそ、これまでの長い時間のなかで培ってきた、権力から独立し、公正中立を旨として放送を出すNHKとしての信頼をより確立しなければならない。同時に、自主自立を経営がどのように捉えているかという見解は、現場にとってもきわめて重要だ。これを明確にすることは経営にとって喫緊の責務といえる。

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14.01.28  籾井新会長の記者会見について

 25日、籾井新会長が就任し、記者会見をおこなった。
 その席で籾井新会長は、とりわけ国際放送における放送内容と政府との距離について「政府が右というものを左とはいえない」と述べた。国際放送については以前「命令放送」をめぐる議論もあったが、これまでより踏み込んだ発言ともいえる。
 また、個人的な見解と断りつつ、従軍慰安婦問題における韓国の対応について「日本だけが強制連行したと云っているから話がややこしい。なぜ蒸し返されるのか」と批判したり、靖国問題についても独自の見解を示し、論議を呼んでいる。やりとりのなかでの発言で真意が定かならないところもあるが、ひとまず、過去にない異例の会見であったことは間違いない。

 もとより、NHK会長といえども個人的な思想信条があるのは当然だ。ただ、NHK職員は、それを公にすることには慎重であることが求められてきた。
 放送である以上、すべての視聴者が完全に納得する放送を出す、ということは難しい。さらにはインターネットが拡がり、誰もが自由に発信できる今となれば、放送内容が「自分の見方や意見」と異なると受け止められることは以前よりも格段に増えているだろう。だからこそ、総じていえば、政府側からは「反政府に偏向している」という批判を受け、政府を批判する側からは「権力におもねっている」という、双方からの“偏向”という批判を承知しつつも、公正中立を模索して放送を出すのが現在の公共放送の仕事である。裏返していえば、「偏向批判」が一方的なものになれば、それは不偏不党を失っている可能性だってある。だからこそ、事実を軸に放送というメディアに即してニュースを出し、番組を作る方法論を積み重ねてきたのが公共放送の歴史である。
 もちろん、NHK職員もひとりひとり個人の単位では、いろいろな思想信条があるだろう。ひとつの事象を受け止める目線も変わってくることもある。そうした多様な職員が集まって、話し合い、マスコミとして、放送としての特性に即したかたちで仕事を出している。何か特権的な立場、あるいは思惑があって、個人の思想信条を押し付けることはできない。さまざまなものの見方や思想信条を持つであろう、視聴者のみなさまからいただいた受信料で成り立つ事業体だからこそ、である。
 そうしたなかで、公共放送のトップが「個人的見解」と断ったとはいえ、さまざまな歴史解釈や公共放送のあり方について記者会見の場で語るのは、やはり異例である。公共放送の職員が、もっと自由に個々の見解を披瀝していいと変わったのであれば、それもひとつのあり方である。だがそうでないならば、見解の異なる視聴者からも受信料を集めている私たちの立場からして、疑念を招くことは大きな損失になる。また、こうした問題を通して、NHKと視聴者との関係に、さまざまな政治上の力学が介在するようになることが最も避けるべきことだし、会長も重視する放送法の主旨も脅かされかねない。

 籾井新会長はあわせて、「できるならば世界に冠たる民主主義を確立することにお役に立ちたい」、「政治との距離をとるのは当然」、「会長として番組に対して影響力を及ぼすことはない」と、十分同意できるような点も述べている。
 公共放送の会長は、NHKだけでなく世界中どこでも、まさに民主主義のために、不当な圧力に対しては敢然と、組織の屹立のために闘ってきた歴史がある。
 新会長の発言の「真意」は今後の言動からさらに明確になっていくだろうが、「放送法の遵守を身近に徹底してやっていきたい」と述べられた新会長が、その放送法に基づく公共放送の「自主自立」「不偏不党」をどう具体的に考え、今後発言していかれるのか。組合としても、現在の社会を踏まえつつ、メディアのあり方を改めて説明する手だてを考えることも進めていく。現場の視点から、今後の公共放送のあり方を放送法に即して考えていく上で、強い関心をもって見ていきたい。
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13.12.11  特定秘密保護法 成立

 6日、参議院本会議で「特定秘密保護法」が可決、成立した。
 法案の内容について日放労は「深刻な懸念」を表明してきた。この法案が対象としている外交や防衛の領域では国家として機密とすべき重要な情報があり、基本的には公開されるべきとしても、なお、安全上秘密とすべきこともあることは理解するが、それでも、必ず後日検証可能なかたちにすること、また、恣意的な秘密の指定の余地をできるかぎり小さくすべきことを主張してきた。

 法案が成立した以上、今度は運用面でそうしたあり方を具体化していくべきである。最も懸念すべき、恣意的な秘密の指定を防ぐしくみについては国会審議でも議論されていたが、それを深化させると同時に、特定機密にあたらないものは徹底して開示することを求めるとともに、マスメディアとしても綿密な取材による実践を積み重ねることが必要になる。

 現場では実感していることだろうが、現在でも、とりわけ行政が情報開示に躊躇する姿勢は強い。現行では何が「秘密」か、を定義する規定もないからだ。そこにこの法案が成立し、「秘密」が外交、防衛など安全保障に関する情報に限定されることになれば、それ以外の情報はこれまで以上に積極的に公開されるべきだ。首相も9日の記者会見で「『国民の知る権利が奪われる』『通常の生活が脅かされる』ことは断じてない」と述べているが、とりわけ、一般の公安情報や行政情報と、秘密とされる安全保障の情報の境界を明確にすることは絶対に必要である。

 そして、私たちとしては、制度だけでは「知る権利」も「取材・報道の自由」も守れないことを改めて思い起こす必要がある。権力と対峙する際にはなおさら、綿密な取材で足場を強くし、公益にかなう取材・報道を継続し、取材源の秘匿という根本を確実に守ることで、「知る権利」の保持者である市民の信頼を得るしかない。取材や報道の自由、放送の自主自立をめぐって、マスメディアとしての役割を自ら積極的に検討し、発揮していく正念場が始まっている。
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13.11.21  秘密保護法案について

 政府が今国会での成立を目指す「特定秘密の保護に関する法律案」の審議が進んでいる。すでに多くの団体・個人からも表明されているが、日放労としても、この法案に対して深刻な懸念を表明する。また、この短い時間での審議と法制化の動きには、反対の意思を示したい。

  現在、日本という「国家」や「日本社会」のあり方についてさまざまな議論が起きているさなかにある。そうした社会を取材し、放送を出していく私たちにとって、情報管理についての政府・行政機関の裁量を拡大させ、さらには取材行為を「教唆」とみなし厳罰化する余地を残した法律がそのまま成立することには、強い危惧を抱かざるをえない。

  国家の安全保障をめぐる情勢の変化が激しいことは理解する。しかし、たとえそうであっても、どのような情報が安全保障上の「特定秘密」に該当するのかが抽象的で、そのプロセスを、現在の政府とは異なる視点からチェックする仕組みも十分とはいいがたい。あまつさえ、そこから範囲を広げて、公安情報のような国内にかかわるものまで対象とすることは不自然さを拭えない。機密を保護するのならまずは現在の手続き、段取りをしっかりするべきで、現行の国家公務員法や自衛隊法から大幅に裁量と厳罰化を拡げる必然性には疑問が残ったままだ。

  また、「特定秘密」が必要だったとして、その事後的な検証すらできなくなるのではないかという懸念も強い。特に、機密指定にかかわる文書が廃棄されるなど、責任の所在が不明になれば検証のしようもない。これまでも、日本側の過去の資料が廃棄され存在せず、当時は機密で後日公開された外国の公文書をもとに番組を制作してきたことが多々あった。これとて、統治機構を守ることを優先した結果、検証を日本側の視点からおこなうことができない、という国としての大きな歴史的損失につながっている。

  こうした法案の目的は、政府も、マスメディアも、視聴者も、自立的に諸問題に対応できるようなよりよい、より強靭な社会を構築していくことにあるはずだ。国家やそれにかかわる情報をめぐる変化は現場で取材にあたる私たちも肌身で感じている。であればなおさら、国家と情報の関係を丁寧にきりとって法制化を進めていくことが必要だ。私たちにとっても大きなこの問題に引き続き取り組んでいく。

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09.02.25  公共放送への挑発行為に強く抗議する

 東京の放送センターと札幌、長野、福岡の各放送局に、ライフル銃の実弾のような金属が送りつけられていたことが明らかになった。また、22日には福岡放送局玄関付近でガスボンベを爆発させる放火未遂事件が起きている。

  いずれの事件についても犯行声明などは届いておらず、その動機や背景も明らかではない。しかし、いかなる理由があろうとも、人々の「知る権利」を支える公共放送の自由な言論に挑戦し、その活動の萎縮をはかるような行為は許すことができない。まして、報道機関への挑戦として記憶に残る「赤報隊」の文字を印字した紙を同封したことは、たとえ愉快犯であったとしても許されない。

  協会もすでに周知をはかっているが、警備上・安全上の施策についていっそうの徹底を求めたい。私たちもまた、日常から安全にいっそう気を配り、言論機関としての使命を心おきなく果たせる環境を作っていくようにしたい。

  社会の多様な意見、多様な価値観を広くあまねく伝えることが私たちの務めである。そのことによって人々の「知る権利」に奉仕し、民主主義を支えていくために、自由な言論が重要なものとしてある。そのことをあらためて確かめ、公共放送としての仕事を粛々と日々全うしていくとともに、犯人に対しては、今回の言論への挑発行為に対して強い抗議の意志を示しておく。

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08.06.18  「ETV2001」判決を受けて


 「ETV2001」についての上告審判決が6月12日、最高裁で出されました。最高裁は、取材対象者の「期待権」を認めNHKなどに計200万円の賠償を命じた高裁判決を破棄し、賠償請求を棄却しました。これで、NHK側の逆転勝訴が確定しました。
  判決では「期待権」について、「放送事業者がどのように番組の編集をするかは、放送事業者の自律的判断にゆだねられて」いるとしたうえで、「(取材対象者の)期待や信頼は原則として法的保護の対象とならない」としました。また、高裁判決ではポイントとなった政治的な圧力が番組改編に影響を与えたかどうかについての判断はありませんでした。

 取材対象者の「期待権」を条件付きではあれ認めた高裁判決に対しては、組合は「NHKに限らず放送番組そのもののあり方に影響を与え、放送の自主自立を揺るがしかねない」との違和感がありました。この点、最高裁判決は「期待権」を原則として法的保護の対象として認めないものであり、表現の自由を尊重した判断として評価したいと思います。
 同時に、真に放送の自主自立を守っていくためには、考えていかなければならない点も残されました。この裁判を通じて明らかになった多くの課題から目を背けることはできませんし、今回の判決でそうした課題が解決したわけでもありません。これまでの経緯を踏まえつつ、私たちに課せられた役割と責任の重さをあらためて噛みしめ、日々の業務の中で公共放送としての役割と責任を着実に果たし続けていきたいと考えています。


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08.04.03  国際放送をめぐる問題について


 ラジオ国際放送に関する個別具体的な「要請」が総務大臣から出され、NHKは応諾することとしました。これに対し、日放労は以下のような見解を出しています。

※    ※    ※    ※    ※    ※    ※    ※

 4月1日、総務省はNHKに対し、改正放送法の施行に伴い、08年度におけるラジオ国際放送およびテレビ国際放送についての実施要請をおこないました。これに対し、NHKは要請を応諾する旨を総務大臣に回答しています。
 今回の要請にあたっても、ラジオ国際放送については、「北朝鮮による日本人拉致問題に特に留意すること」とする個別具体的な要請が含まれています。改正放送法により、「命令放送」が「要請」と規定があらためられたものの、こうした個別具体的な要請には、放送の自主自立を貫いていく観点から違和感を拭い去ることができないと言わざるを得ません。
 NHKは、「個別具体的な要請は、放送の信頼性、客観性に疑念を抱かせるおそれもあり、その応諾には慎重な判断が必要」としたうえで、「報道機関として、自主的な編集判断をおこなったうえで、一貫して必要な国際放送を適宜適切に実施してきており、今回の要請に応じても、番組編集の自由が確保していけるものと判断した」としています。
 日放労としてもこれまで主張してきたとおり、実際に「要請」を応諾するにせよ、NHKは言論・報道機関として、そして、視聴者による受信料制度で成り立つ公共放送として、視聴者・市民に対して、言論・放送の自由への介入は断じて許さないという毅然とした姿勢を示していくことが何より重要だと考えています。

日本放送労働組合
2008年4月2日

※    ※    ※    ※    ※    ※    ※    ※

 またこの他にも最近、国際放送をめぐってはさまざまな発言がなされています。
 日放労では従来から、国際放送については編集権の確保が大前提である上で、国内放送と同様、自主的な放送を貫くべきである、またその姿勢を明確に視聴者に対してアピールしていくべきである、と交渉の中で経営執行部に対して主張しています。現状を的確に取材し、自律的な編集のもとに放送していくべきという姿勢は、今後とも変わりません。

 

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08.03.07  インサイダー問題を受けて議論を進めています

 日放労ではこの1ヶ月の間、各地で職場集会やフォーラムを開いています。広島、仙台、東京で外部の方を招いてフォーラムを開いたほか、各職場では組合を中心に、あるいは労使の枠を越えて、議論が行われています。

 とりわけインサイダー問題がわたしたちの中から起きたことを、視聴者のみなさんに深くお詫びするとともに、どこに原因があったのかを考える。そうした話し合いが行われています。
 また、放送法の改正や新しいガバナンスの構築によって、現場にどのような影響があるのかという懸念も広まっています。お詫びするべきはお詫びしつつ、しかしそのなかでも、どうすれば視聴者の方にいま社会で起きている大事なことを放送でお伝えできるのか。
 お招きした外部の方からはNHKの体質についての指摘、どうして現場から意見を出そうとしないのか、実際に放送にたずさわっている人たちの考えがわからない、といった疑問など厳しい声が寄せられています。日放労の活動に対しても、取り組みが十分ではない、という意見もありました。

  こうした活動をご紹介する準備を進めているところです。もうしばらくお待ちください。


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08.01.31  職員のインサイダー取引の疑いについて


17日、協会が、職員のインサイダー取引の疑いを公表したことを受けて、日放労では18日、以下のような文書を組合員へ向けて伝達しました。

いま一度、原点を見つめ直そう

 17日、協会は記者会見をおこない、昨年3月に職員3人が株のインサイダー取引をおこなった疑いがあるとして、証券取引等監視委員会が任意の調査に入ったことを明らかにしました。うち2人は、放送直前に原稿システムの端末でニュースの内容を知り、株取引をしたことを認めているといいます。
  視聴者の負託に応えるための公共放送の職員が、インサイダー取引という違法行為をおこなうことは言語道断であり、まずは、すべての視聴者に対して、深くお詫びしなければなりません。そのうえで、二度とこのような事態を引き起こさないことも約束しなければなりません。
  “一部の職員が起こした問題”と認識するのではなく、公共放送NHKで働くすべての者が、いま一度“視聴者のために”という理念を噛みしめなければ、信頼回復への道は遠のくばかりです。

 2004年の不祥事発覚を受け設置された「デジタル時代のNHK懇談会」がまとめた報告書の一節をここに再掲します。自戒を込めつつ、私たち一人ひとりが認識を新たにしたいと思います。

 私たちはNHKで働くすべての人たちに訴えたい。どうか一人ひとりが、受信料を支払っている視聴者一人ひとりの顔を、その期待するものを、ありありと思い浮かべ、真正面から受け止めてもらいたい。それに応えるために何をすべきか、何をしてはならないかを静かに考え抜いてほしい。そこで自覚される公共放送の役割をていねいに果たしつづけること。職員一人ひとりのレベルではそのようにしてしか、この種の不祥事の再発は防げないし、公共放送の理念もまた、日々のそうした地道な仕事のなかで生命を吹き込まれ、具体化していくものである。
(2006年6月19日「デジタル時代のNHK懇談会」報告書より抜粋)


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06.11.07  「命令放送」電波管理審議会への諮問について
 
「自主自立」を貫くために

 8日の電波監理審議会に、NHKのラジオ国際放送で、拉致問題に関する放送の実施命令をおこなうことが諮問されます。菅総務大臣は、国会答弁で繰り返し、編集権には踏み込まないことを述べていますが、個別項目について放送の実施命令をおこなうこと自体が、編集権に踏み込んでいると受け止めざるを得ません。

 総務大臣は、テレビの国際放送についても、来年度の国の予算に盛り込んだうえで、ラジオに準じて命令放送がおこなえるとの認識も示しています。今回の実施命令が認められ、さらにテレビにまで適用されることになれば、放送の自主自立が脅かされる懸念はますます広がるばかりです。

 NHK経営は、実際に命令が出された場合でも、これまでどおり自主判断を貫くとの姿勢を示していますが、言論・放送機関として、そして、受信料で成り立つ公共放送として、視聴者・市民に対して、言論・放送の自由への介入は断じて許さないという毅然とした姿勢を示していくべきです。

 2日の会見で会長は、「新しいテレビ国際放送を考え出そうという動きの中で、我々は、NHKブランドで放送を出していくことが実効的な国際発信の強化につながるのではないかと主張している」と述べました。

 であるならば、命令放送について、視聴者・市民が放送への権力の介入を懸念している今、そうした意見も受け止め、公共放送としてどうあるべきかを示していく必要があるのではないでしょうか。それがないままでは、国際的にも、日本の公共放送への信頼を失わせていくだけです。

 NHK改革においても、その大前提が、放送の自主自立を貫くことであるのは言うまでもありません。今後の労使議論のなかで、経営姿勢をあらためて糺し、視聴者・市民と向き合い、公共放送としての業務運営に真に活かすことができる議論・改革をすすめていかなければなりません。 

2006年11月7日 日本放送労働組合 

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06.10.24  総務大臣の「命令放送」電波管理審議会への諮問について


個別項目の「命令放送」に反対する

 本日、菅総務大臣が閣議後の記者会見で、NHKの短波ラジオ国際放送について、拉致問題に関する命令放送をおこなうことを、11月8日の電波監理審議会に諮問することを正式表明しました。

 これまでも毎年、▼時事、▼国の重要な政策、▼国際問題に対する政府の見解、など、大枠での実施命令はおこなわれてきましたが、放送内容はNHKの自主性に委ねられてきました。今回、実施命令するとしている拉致問題についても、自主的な判断に基づいて重点的かつ客観的に報道してきています。

 そうしたなかでの個別項目の実施命令は、NHKへの権力の介入と受け止めざるをえません。言論・放送の自由への介入は、断じて許すことはできません。

2006年10月24日 日本放送労働組合 
 

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