ブルペンでスライダーを投げた楽天の松井裕=沖縄・久米島
|
 |
ついに伝家の宝刀を抜いた。楽天のドラフト1位、松井裕樹投手(18)=桐光学園高=が5日、久米島キャンプのブルペンでスライダーを解禁。全65球のうち、わずかに4球。それでも、見守った星野仙一監督(67)を小躍りさせた。
思い切りよく振り切った左腕から放たれた白球は、鋭角に滑り落ちた。嶋のミット音が響く。キャンプ3度目のブルペン入り。この日はチェンジアップに続き、代名詞でもある決め球のスライダーを初披露した。
「まだ、たくさんは投げていないので。プロのボールはしっとり感があるので、対応したい」。自己評価は慎重。ただ、「投げ始めにしては良かったと思います」と初スライダーに手応えも感じていた。
感嘆の声を上げたのは正捕手の嶋だ。左右の違いはあっても、田中のスライダーを受けてきた男が「もう、えげつないです。打者の足元に来たら消える感じになるんじゃないですか。高校生に打てるわけがないですね」と絶賛した。
目を丸くしたのは首脳陣も同じだ。星野監督は「松井だけじゃなく、森や塩見、辛島も良かったね。若いのがいると、ずっとブルペンにいたくなる」と、まずは若手先発陣全体を評価しながら、喜びも抑えきれない。「楽しみやな。スキップしちゃうよ」と本当に左右の足を弾ませた。
この日の松井裕は直球、スライダー、カーブ、チェンジアップをミックスさせ、より実戦を意識した投球になった。「これから打者が立って、試合で投げて、段階を踏んでくれれば」と星野監督。
絶対エースの田中が抜けたイヌワシ投手陣。極上の輝きを放つ左腕の存在感は、日増しに高まっている。 (井上学)
この記事を印刷する