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ボディ・ブルー 青い人間たち【後編】

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■もう一つの事実

 さて、もしこのような劣性疾患を引き起こす遺伝子を持つ人が子どもをもうけても、通常それが次世代まで受け継がれることはない。同じ欠陥遺伝子を持つ配偶者と出会うことなどほとんどないからだ。しかしそれが子孫たちに代々受け継がれてしまったファゲイト一族の場合、さらに驚くべき背景があったようなのだ。

 なんと、彼らの劣性疾患は、一族間の血族結婚によりもたらされていたのだという。

 ファゲイト一族が暮らすトラブルサム・クリークは、20世紀前半まで地域の外へ出るための鉄道もなければ道路も限られている完全に孤立した地域だった。そのため、集落はいつまでたっても小さいままで住民も限られており、一族の多くが、近隣に住む従兄弟や親族と結婚していたのだ。中には、自分の叔母にあたる人物と結婚したという例もある。つまり、ファゲイト一族とは近親交配の家系を持つ一族であったのだ。


■現在のファゲイト一族

 1912年に石炭鉱業が地域に進出してきたことで、ファゲイト一族は徐々にトラブルサム・クリークの外へと移り住むようになり、次第に姿を消していった。

 インディアナ大学のキャシー・トロスト氏の調査によると、ファゲイト一族の血を引く者として現在知られている最も若い人物は、1975年生まれのベンジャミン・ステイシーである。1982年の報告で、トロスト氏はこのベンジャミン君の皮膚について「ほとんど紫色だった」と表現している。また、ベンジャミン君の父親は、トロスト氏に家系図を見せ「ご覧のとおり、私の親戚は自分自身なのです」と語ったという。

「ブルーマン・ファミリー」とでも言うべきファゲイト一族の誕生には、遺伝と地理、その両方の影響が深く絡んでいたのだ。2012年にアメリカABC Newsは、当時37歳になったであろうベンジャミン君への接触を試みたが、結局消息を掴むことはできなかった模様。今もどこかで暮らしているファゲイト一族の血を引く人たちが、世捨て人のように、隠れて暮らす必要に迫られていなければよいのだが……。

 いかがだったろうか。「ボディ・ブルー 青い人間たち」。今回は青い人間をテーマに、特徴的な身体を持つ人を紹介したが、世の中にはたくさんの生命があり、その数だけ違う運命がある。そして、あなたの知らない驚きや感動の物語もまだたくさんこの世界には眠っているのだ。

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