“秘密結社、カルト団の巣窟”ナイジェリアの悲惨な実態 「拷問・リンチ・警察返り討ち…」
■制御ができないカルト団の混乱
カルト団の報復を恐れて亡命する者までいるという異常な事態なのだが、学生から成るカルト団を、国は抑えることができない。なぜならば、国レベルでも宗教がらみの混乱が激しさを増しているからだ。
ナイジェリアの北部は貿易を通じてイスラム教が広まり、精霊信仰が強かった南部は、ヨーロッパの影響を受けキリスト教が広まった。1960年にイギリスから独立して以来、政治は混乱し続けており、宗教対立も頻繁に起こっている。近年は、南部で採取できる豊富な石油をめぐる紛争が絶えず、ここ数年は、人口の多い北部のイスラム武装派が大暴れしている。
英「BBC」のまとめによると、ナイジェリア北東はイスラーム武装派「ボコ・ハラーム」(西洋の教育は禁じるという意味)が幅を利かせており、過去18ヶ月の間に数百人を殺害。2009年に警察に拘束されたリーダーの死に対する復讐だとして、マイドゥグリで、バイクに乗った暗殺者たちが、政治家や警察官を次々と殺害したのがきっかけとなり、今やアブジャの警察本部やUN本部に自爆テロを仕掛けたり、銀行強盗をするなど、収集がつかない状態になっている。
北中部のプラトーやカドゥイナ州では、長年にわたり、イスラム教徒、クリスチャン、精霊信仰者の間で激しい衝突が繰り広げられている。最近では、ボコ・ハラームが教会を爆破するなどし、彼らの争いを煽る傾向があるとのこと。北ナイジェリア最大の市、カノでは、イスラム武装派のターゲットとなっており、今年1月には警察とセキュリティ本部を攻撃し200人近い犠牲者が出た。外国人を誘拐するケースも増えており、昨年誘拐されたドイツ人エンジニアは今なお拘束されている。
警察も政治家も制御できない、宗教争いにカルト団。5月7日には、また別のカルト教団「オムバツェ」を逮捕しようとした派遣された警察隊が返り討ちにあい40人を超える警官が殺害されるという事件が起こっている。ナイジェリアの警察が、カルト教団やイスラム武装派、カルト団に乗っ取られる日は、そう遠くないのかもしれない。
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