“秘密結社、カルト団の巣窟”ナイジェリアの悲惨な実態 「拷問・リンチ・警察返り討ち…」
画像は、CNN Nigeriaより
ナイジェリア大手日刊紙「Vanguard」電子版は、5月21日に同国レゴス州イコロドゥ・オド・ケケレ地区で、敵対しているカルト団「Aiye」と「Eiye」が衝突し、2人が死亡、多数の怪我人が出たと報じた。
事件は早朝8時に、住宅街で発生。1時間にわたり激しい衝突が続き、出勤する人々が逃げまどう騒ぎになったという。警察が到着するまで、2つのカルト団は武器を使い、戦いを繰り広げていたと報じられている。
消息筋によると、今回の衝突は、2ヶ月前に起こった衝突で殺害された仲間の仇討ちとのこと。「Aiye」と「Eiye」は、この地区で、どちらが主権を握るかで争い続けているという。この地区で働く行商人は、「警察は捜査をして、容疑者を逮捕するけど、カルト団は日に日に勢力を増している。早く手を打たなければ、カルト団が、警察を制圧してしまうだろう」と危機感を募らせている。
今回の事件も、2人を殺害し、報復を達成したことで実行犯はアンダーグランドに逃げ隠れているものとみられており、地元警察は捜査を行っているものの、誰も逮捕できないのではないかといわれている。
■ナイジェリアの社会問題にもなっている、大学生が牽引する“カルト団”
勢力を増している「Aiya」は、昨年7月にもエド州ベナン市で、カルト団「ブラック・アックス」のメンバー4人に暴行を加え殺害している。「Aiya」と「ブラック・アックス」は、過去3年に渡り、主権争いで衝突を繰り返しており、30人以上の死者がでていると報じられている。
「Aiye」「Eiye」「ブラック・アックス」、これらのカルト団は、大学の秘密カルト団であり、貧困層の学生、家庭が崩壊したという学生、社会に不満を抱いている学生らがメンバーとなり、地区の主権争いを繰り広げている。
ナイジェリアでは大学ごとに秘密カルトが結成されており、頻繁に衝突を繰り返すため、深刻な社会問題となっている。1953年にノベール賞受賞者のウォレ・ソインカらが、現代のイバダン大学に「騎士道のような学生を目指すクラブ」である「パイレーツ協会」を設立したことが基となっているのだが、1960年にイギリスから独立して以来、クーデターが起こったり、政治家が暗殺されるなど国は混乱し続けており、「騎士道」を目的としたクラブは、「カルト」集団へと変貌。70年代から80年代にかけて、次第に暴力的になった。
90年代になると、入会するにあたりイニシエーションを称した拷問を行ったり、対立するカルト団は「悪」だとして、暴力で征するとし、殺し合いを繰り広げるように。脱退したメンバーには、容赦ないリンチが行われたり、恐喝されるなど、やりたい放題するようになった。そして、今では、政治家や警察など、国の組織に対しても暴力を振るう、犯罪組織と化しているのだ。
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