ソチへ出発前に報道陣の質問に答えるフィギュアスケート女子の浅田真央=成田空港
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真央が金プログラムで集大成の五輪に挑む。女子フィギュアスケート日本代表の浅田真央(23)=中京大=が5日、成田発の航空機でソチへ向けて出発した。浅田は五輪本番での演技について、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)をSPとフリーで「1回ずつ跳ぶ」と明言。年明けに自ら佐藤信夫コーチ(72)に申し出て、計3回のトリプルアクセルという自身の思いを封印した。ソチ五輪では、基礎点がより高い連続3回転ジャンプ成功へ意欲を見せた。この日、鈴木明子(28)=邦和スポーツランド=も別便で成田から出発した。
勝ちにいく。ソチで表彰台の一番上に立ちたい。だから、トリプルアクセルへの思いを抑え、バランス重視のプログラムで勝負する。出発前、トリプルアクセルについて聞かれた浅田はきっぱりと言った。
「今年に入ってから、自分の気持ちとしてもいろいろと考えがあって。今回はSPとフリーで1回ずつ跳ぼうと思う。もうバンクーバー(五輪)でトリプルアクセル3回(SP1、フリー2)という目標は達成した。(ソチでは)バンクーバーでできなかった全種類の3回転ジャンプ、連続3回転を跳びたい」
以前トリプルアクセル3回について「夢だからやらせてやりたい」と話していた佐藤コーチはこの日「正月明けに(浅田が)申し出てきた」と語った。今季世界最高得点で制した昨年11月のNHK杯後、同12月のグランプリファイナルと全日本選手権のフリーで2回挑戦し、失敗している。
浅田自身は「今の時点ではトリプルアクセル2回は最高レベルではない」と話しつつ、「トリプルアクセルを2回入れるより、1回でプログラムを作った方がバランスがいい。レベル、得点はそんなに変わるものではない」と続けた。体力的にも負担がかかるトリプルアクセルを外し、連続3回転を入れる方が基礎点が高い。それだけ、金へ近づくというわけだ。
この日の空港には報道陣70人以上、テレビカメラ10台以上が詰め掛けた。出発ロビーには警官も配備され、浅田が姿を見せたときには警備員3人がすぐ近くを歩き、周囲数メートルには誰も近づかせないほどだった。背筋をピンと伸ばして悠然と歩きながら、「頑張って〜」と声を掛けられると、手を振って応えた。
「今年に入って、体の調子も、スケートの調子もいい。ソチでは(12年に優勝した)グランプリファイナルでのいいイメージを持って頑張りたい」。最後の五輪で、勝負に徹する浅田が力強く、しかし、華麗に舞って頂点を狙う。(関陽一郎)
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