キルギス・誘拐婚の実態! アラ・カチューに従わねばならない女たち
■男の家に入っただけで穢れの烙印を押される
一般的に、イスラム教であるキルギスでは、女性が一度でも男性の家に入っただけで“純潔ではなくなった”とみなされる。
多くの親たちも、穢れた娘を受け入れるわけにはいかないと、そのまま結婚を承諾するという。女性も両親に恥をかかせたくないという思いから、やがて諦めて運命を受け入れてしまうのだ。
そうして、女性は誘拐した男とイスラム式の結婚式を行う。結婚式の翌朝、初夜で使ったシーツは家の外で干され、“処女の血”を結婚の証として周囲に見せるという。
キルギスの村では、こういった光景は珍しいことではない。ある調査によれば、「キルギスの約半数の女性が、誘拐婚によって結婚している」そうだ。
キルギスでも「誘拐婚」は、犯罪であり、法律でも禁止されている。しかし、実際には男性が女性をレイプしたり、女性が自殺したりしない限り、罪に問われることはほとんどないのだ。警察や法も動くことはない。
「恋人との結婚を控えていたのに、誘拐婚をさせられてしまった」「将来の夢や進学を誘拐婚によってあきらめた」そんな女性も数多くいるのが現実だ。
誘拐婚の後、不幸になる女性も後を絶たない。夫から暴力を受けたり、自殺に追い込まれたりすることも多い。そして、離婚する女性もいるが、その多くが家族に見捨てられるため売春に走るという。
そう、キルギスの女性には逃げ場がないのだ。
■日本の奇習「嫁盗み(よめぬすみ)」とは?
自由恋愛が認められている我が国において「誘拐婚」は信じられない奇習であろう。
だが、日本にもかつて明治の初期頃までは、さまざまな婚姻形態があり、「誘拐婚」もあったのだ。民族学者の柳田國男の研究によれば、「嫁盗み(よめぬすみ)」と言う誘拐婚の風習が、全国的にあったという。
「嫁盗み」のパターンはさまざまである。
女性本人やその両親の合意の元に行われている場合。たとえば、貧しい家では、娘に持参金を持たせることができない。だけど「さらわれちゃったら仕方ないね……」ということで、わざと盗んでもらう形式にしてもらうこともあったのだ。
ただ、強引な「嫁盗み」の話も残っている。「婚礼行事の花嫁の美しさに見とれていた娘が不意に後ろから抱きかかえられ、盗まれてしまった」「祭りや休みの日にたまたま出会った若い男に目をつけられ、そのままさらわれた」などがある。
「嫁盗み」という風習に関して、柳田國男は「盗まれる女性本人の自由意思がどの程度まで尊重されていたのか?」に注力して調査している。
ある地方では、「盗まれた場合の心得」を母親が娘に教えていたらしい。「第一に、泣いたり騒いだりしないこと。次に、盗ませた相手をよく見定め、なんとしても納得できなければハッキリと不承諾の意を表して引っ張り込まれないようにする。もし、相手を気に入ったら婚姻に同意してもよい」というものだった。
しかし、柳田國男は、そうは言っても、心弱く仕方なしに承諾してしまった女性も多々あっただろうと推測している。
なぜなら、ある地方では、嫁を欲しいと思う者は、若連中に相談して嫁盗みに協力してもらい、土蔵などに女性を監禁するというのだ。そして、女性に食事を与えつつ、時間をかけて口説き、うんと言うまで親にも会わせない。そういうことから、気の弱い娘は折れてしまったのではなかろうか。
実際に「嫁盗み」されたある娘は、警察官の助言もあって、45日ぶりに実家に帰った。だが、家では、彼女がすでに結婚に承諾したと思い、叱りつけて追い出した。仕方なく彼女は「もう一度盗んでください」と頼まねばならなかったという。
女性が承諾したとは言い難い話もある過去の日本における「嫁盗み」は、現在のキルギスの「誘拐婚」と性質が変わらなかったのかもしれない。
つまり、女性の心弱い部分は今でもまだ十分に擁護されていないが、以前はなお一層危険にさらされていたのではないか。柳田國男も“女をこのような心細い状態に置かねばならぬ慣習は廃れていくのが当たり前”だと述べている。
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