5b59 (cache) 民主党が政権に残した「バカの壁」原子力規制委員会 - 池田信夫 エコノMIX異論正論 - Infoseek ニュース

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民主党が政権に残した「バカの壁」原子力規制委員会 - 池田信夫 エコノMIX異論正論- ニューズウィーク日本版(2014年2月5日19時11分)

 ところが田中私案は、このような配慮も法的措置もなく、すべての原発を一律に違法にしてしまった。しかもこの私案は、委員会規則にもなっていない私的なメモである。こんな恣意的な行政指導を認めたら、規制委員会は何でもできる。気に入らない電力会社の原発を廃炉にしようと思ったら、それが違反になるような安全基準をつくり、「今日からお前は違反だ」と宣告すればいいのだ。

 この田中私案を元官僚に見せると、みんな驚く。公文書の体をなしていないからだ。おそらく工学部出身の田中委員長は、バックフィットが憲法違反と紙一重の危険な規制だということを知らないのだろう。これは彼の個人的な思いつきではなく、当時の民主党政権の意思を反映していた。昨年4月30日の北海道新聞のインタビューで、菅元首相はこう答えている。


[原発が]トントントンと元に戻るかといえば、戻りません。10基も20基も再稼働するなんてあり得ない。そう簡単に戻らない仕組みを民主党は残した。その象徴が原子力安全・保安院をつぶして原子力規制委員会をつくったことです。[中略]独立した規制委の設置は自民党も賛成しました。いまさら元に戻すことはできない。


 彼のいうように、原子力規制委員会は独立性の強い3条委員会(国家行政組織法第3条に定める各省と同格の委員会)なので、どこの官庁も手が出せない。霞ヶ関の膨大な人的資源が利用できないので、委員は「個人商店」で思い思いにやっている。規制委員会は、民主党が政権を去っても「原発ゼロ」を守るために残した「バカの壁」なのだ。

 自民党も賛成したのは、自民党の塩崎恭久氏が委員会設置法を書いたからである。反原発派も「日本版NRCをつくる」という彼の理想に賛同したが、経産省はまったく協力しなかった。このため法律の書けない塩崎氏は設置法を民間企業に外注した。日本では知識が組織に蓄積されているので、専門家の独立行政委員会は機能しないというのが通説だが、規制委員会はそれを見事に証明した。

 こうしている間にも毎日100億円の燃料費が失われ、日本経済は沈んでゆく。さすがに首相官邸も何とかしなければと思い始めたらしいが、田中私案なんか無視すればいいのだ。それには法律も閣議決定も必要ない。安倍首相が記者会見して「今日から原発は法令にもとづいて運転してください」といえばいいのである。



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