[表紙の話] 女性家族部‘性売買実態報告書’が推定した2010年性売買4605万件、性売買従事者14万2千人余り…平均取引額7万2千ウォン、性売買集結地より町内で行われている性売買がはるかに多い(4892字)


□キム・ギテ


4d2fe73a.jpg←ソウル、龍山(ヨンサン)駅付近の性売買集結地の姿。女性家族部の‘性売買実態報告書’という2010年の年間性売買4605万件、性売買従事者14万2千人余りの現実を明らかにした。全国45ヶ所の集結地女性の数は4917人だ。タク・キヒョン先任記者


4699万.


我が国の人口ではない。2010年、我が国性売買推定件数だ。 乾燥した数値の中には人の顔は探し難い。 統計の中に一歩さらに踏み込んでみよう。

14万2248人.


我が国性売買集結地と斡旋業者に従事する性売買女性人口の推定値だ。この数値の中に人の顔がおぼろげながらも見えるかも知れない。バスに乗って居る時に偶然に車窓に見えた歓楽街女性の顔を思い出したりもする。カラオケや団欒酒場でつまらなそうにタンバリンを振っていた女性コンパニオンの表情が思い浮かぶかも知れない。あるいは、テレビの扇情的プログラムで変調した声で愚痴っている性売買女性の声を思い出すかも知れない。誰でもいい。統計の中で彼女たちは2010年一年間に300回以上見知らぬ人にからだを任せた。


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ガラス部屋、座布団そして旅人宿


<ハンギョレ21>は女性家族部が昨年12月ソウル大女性研究所に委託し作った‘性売買実態報告書’を単独入手した。チェ・ヨンヒ民主党議員室の助けを受けた。 700ページを越える報告書は全国性売買現場を大きく5種類に分け隅々まで分析した。△いわゆる‘集娼村’を含む性売買集結地△団欒酒場とカラオケなどを合わせた性売買斡旋可能業者△変種性売買業者△インターネット△海外性売買市場だ。最初の2つの現場に対しては現場調査を通じて比較的詳細に現況を分析し、残りの3ヶ所に対しては購買者アンケート調査等を通じて間接的に現況を把握した(ボックス記事を参照)。


第一の類型である専業型性売買集結地を見れば、全国に45ヶ所あると集計された(図1参照)。性売買集結地とは、よく私娼街、歓楽街、風俗街、基地村等と呼ばれる地域だ。研究所では‘直接的性売買を主な目的とする業者が10ヶ所以上集まっている地域’と定義した。ソウルの清涼里(チョンニャンニ)‘588’、ミアリ‘テキサス’、釜山の玩月洞(ワノルドン)などが代表的性売買集結地だ。 もちろん性売買は不法だ。


不法がまかり通っている集結地は外部の合法的空間と奇妙に混在していた。報告書によれば、半径1km以内に住宅街のある性売買集結地が34ヶ所(75.6%)であったし、官公庁がある性売買集結地も25ヶ所(55.6%)あった。さらに周辺1km以内に学校がある所も半分(24ヶ所・53.3%)を越えていた。一部の性売買空間は青少年にも開かれていた。全体45ヶ所の中で青少年通行禁止・制限地域や内国人立入禁止業者などと指定されていない集結地が9ヶ所あった。


報告書は性売買集結地を大きく4類型に分けた。集結地を構成する最も主要な業種が基準になった。先ず、いわゆる‘ガラス部屋’が主流をなす性売買集結地がある。ガラス部屋とは業所の前面がガラスドアなので道行く人が性売買女性を外から見て‘選ぶ’ことができる業者だ。45ヶある性売買集結地の内、半分以上の23ヶ所でガラス部屋が主流をなしていた。ソウルの清涼里(チョンニャンニ)とミアリ、釜山の玩月洞(ワノルドン)や全州のソンミ村など歴史の長い集娼村は大部分がここに属した。二番目はビール・ウィスキー酒場/座布団(料亭など)がある。性売買を主な目的としているが酒も売る場所だ。ソウル、銅雀区(トンジャクク)、梨水(イス)駅付近‘パルパル路地’や光州(クァンジュ)東区(トング)の無等路(ムドゥンノ)など9ヶ集結地でよく見られる。三番目は旅館・旅人宿がある。登録されていたり登録されていない宿泊業者であり、直接客引き行為をする形で女性のからだを売る類型だ。大邱(テグ)、中区(チュング)、北城路(プクソンノ)1街や忠北(チュンブク)、提川(チェチョン)の旅館路地など7ヶ集結地で最も多く目につく。その他に米軍基地周辺に形成された基地村がある。 京畿道(キョンギド)、平沢(ピョンテク)と東豆川(トンドゥチョン)など6ヶ所にある。


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26sei6←性売買現況


集結地女性 一日4.92人の男性と取引


全国45ヶ所の集結地には計4917人の性売買女性が仕事をしていると集計された。集結地ごとに平均109.3人の性売買女性がいて、類型別には基地村(1集結地平均142.7人),ガラス部屋(126人),ビール・ウィスキー酒場/座布団(88.8人),旅館・旅人宿(51.9人)の順で性売買女性が分布していた。性売買が‘集結’する空間で外国人女性は少なかった。基地村を除く39ヶ集結地でからだを売る女性4061人の中の外国人は中国国籍の女性2人だけだった。反面6ヶ所の基地村では全体女性856人の中で外国女性が多数(659人・77%)を占めていた。これらの中で絶対多数(651人・99.8%)がフィリピン女性だった。


集結地が生き残るためには男性‘顧客’が必要だ。集結地性売買女性は一日平均4.92人の男性と‘取引’をした。集結地類型ごとに女性1人が取引した男性数はバラバラだった。ガラス部屋(6.1人),旅館・旅人宿(5.7人),ビール・ウィスキー酒場/座布団(3.6人),基地村(1.86人)の順だった。一件の‘取引’に対する報酬も違った。基地村(12万6千ウォン),ビール・ウィスキー酒場/座布団(8万4千ウォン),ガラス部屋(7万ウォン),旅館・旅人宿(2万9千ウォン)の順だった。平均取引額は7万2千ウォンだった。


事業主と性売買女性間の収入配分実態も調査した。全体45ヶ集結地の中で21ヶ所は事業主の取り分が女性より大きく、反対に残り3ヶ所では性売買女性の取り分が大きかった。事業主と女性の取り分が同程度という集結地も17ヶ所あり、残りの4ヶ所は把握不可能だった。報告書では「現実的に(性売買女性が先払い金を受け取ることにより生じた)債務と変則的に賦課される各種経費、代金)、罰金などが女性たちを捕まえている状況であることを考慮する時、公式にはこれらの分配比率が適用されたとしても、その収益が全て女性たちに与えられるとは見難いだろう」と説明した。


性売買集結地が全国土にポツンポツンと島のように浮いているとすれば、性売買斡旋可能業者は全国の津々浦々に入り込んでいる。看板はよくカラオケや美容室など合法の顔をしているものの、この内少なくないところで性売買が行われていた。報告書は合法的営業行為の裏面で一部性売買斡旋をする業種を大きく7類型に分けて提示した(表1参照)。これら業種に属する性売買女性人口は13万7331人で、性売買集結地に縛られた性売買女性(4917人)の30倍近く多い。遠くにある集娼村より実際には近い町内路地にはるかに多くの性売買女性が‘潜行’しているという意だ。団欒酒場などを含む一般遊興酒場の中では10ヶ所の内5ヶ所以上(56.5%)で女性のからだを売っていた。次いでナイトクラブなどダンス遊興酒場(53.8%),マッサージ業者(46.4%),喫茶店など非アルコール飲料店(35.3%),カラオケ(20.1%)の順で性売買斡旋比率が高かった。 理容業所の中では12ヶ所中1ヶ所程度(8.2%)だけが性売買を斡旋しており、最も‘健全な’業種だと分析された。性売買を斡旋する業所だけを対象に集計すれば、1業所当たりの性売買女性数は一般遊興酒場(4.38人)が最も多く、理容業(1.57人)が最も少なかった。業種別性購買者数はマッサージ業が一日5人で最も多く、次いで一般遊興酒場(3.4人),その他美容関連サービス業(3.3人),理容業(2.5人),カラオケ(2.4人)等の順だった。 性的サービス購買費用はダンス遊興酒場(19万2千ウォン),一般遊興酒場(16万9千ウォン),カラオケ(16万1千ウォン)等の順となった。平均は15万1千ウォンだった。


報告書によれば、半径1km以内に住宅街がある性売買集結地が34ヶ所(75.6%)であり、官公庁がある性売買集結地も25ヶ所(55.6%)だった。さらに周辺1kmの距離内に学校がある所も半分(24ヶ所・53.3%)を越えていた。一部の性売買空間は青少年にも開かれていた。


インターネット性売買121万件


報告書はいわゆる‘変種型業者’で行われている性売買をはじめとして、その他にインターネットおよび海外性売買などに対する推計も盛り込んだ。これを見ればキス部屋・デタル部屋・画像部屋など伝統的性売買斡旋可能業者範疇に属しない変種性売買業者では2010年一年間に166万件の性売買がなされたと推定された。 また、オンライン チャットや性売買斡旋サイトを通じてなされる性売買件数は121万件、海外性売買取引件数は94万件と推定された。このように4千万件を越える性売買件数は全国あちこちで積もっている(表2参照)。


キム・ギテ記者 kkt@hani.co.kr


どのように調査したか?


集結地現場調査+斡旋業者面談調査


対象領域により調査方法が異なる。まず全国45ヶ所の性売買集結地に対しては現場相談所など団体の助けを受け現場調査が行われた。例えばソウル、龍山(ヨンサン)駅前歓楽街の調査は現場で性売買女性相談などの活動を行うマグダレナ共同体の助けを受け、全北(チョンブク)の性売買集結地4ヶ所に対する現場調査は全北女性人権支援センター付設現場相談センターで引き受けた。このように全国25ヶ所の女性人権団体が力を寄せた結果、性売買集結地45ヶ所に対する現場調査が成された。これを通じて集結地現況はもちろん、事業主と女性の収益配分のような詳細な情報が集められた。


性売買斡旋業者調査は多少複雑な過程を経た。色々な業種の中で最も事業体が多い一般遊興酒場の例を見れば、ひとまず2008年統計庁に一般遊興酒場業として登録された全国3万1623業者の地域別分布を分析した後、その分布比率に合わせて地域別に標本となる業者を任意抽出した。これに伴いソウル130ヶ所、広域市214ヶ所、中小都市337ヶ所、農漁村112ヶ所など全体793ヶ所の一般遊興酒場が標本に選ばれた。 それからこれら業者を直接訪問した調査者が業所関係者に面接調査する方式で性売買斡旋有無、性売買取引単価、女性従事者数等を確認した。 もちろん調査方法に限界はあった。 報告書は「率直な応答はすなわち法を犯していることを認めることになるので、事業主など回答者が性売買有無を事実通りに答えなかったケースが少なくなかったと見る。 …(また、反対に)客を装い実施した電話モニタリングでは事業主など回答者が接客員数を誇張して答えた可能性があると判断される」と説明した。


その他に変種・インターネット・海外性売買などに対しては性売買提供業者を対象に直接現場を調査する方法の代わりに、女性家族部で2010年に実施した男性購買者アンケート調査の内容を土台に該当業種の規模を逆に推算する方法を選択した。したがって該当分野の性売買従事者数や関連業者数等の情報が集めてはいない。


原文: http://h21.hani.co.kr/arti/cover/cover_general/30839.html 訳J.S