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【政治】

「無駄」削減見せかけ 8事業3600億円 補正予算で復活

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 二〇一四年度の予算編成で政府が有識者から無駄を指摘され、概算要求段階から削減した約四千八百億円のうち、一三年度補正予算案に同様の事業内容で約三千六百億円が盛り込まれていることが分かった。四月の消費税増税を控え、国民に「無駄削減」の姿勢をアピールするはずが、削った予算の「復活」を許していた。 (清水俊介)

 一四年度予算案の編成では有識者らでつくる政府の行政改革推進会議が昨秋、概算要求のうち十府省の五十五事業に「無駄が含まれている」と指摘。一月に約四千八百億円を削減したと発表した。しかし、民主党が一三年度補正予算案の内容を調査したところ、次々と復活が明らかになった。

 国土交通省の「防災・安全交付金」は、有識者から「老朽化対策に重点化すべきだ」との指摘を受け、一四年度予算案では千三百八十六億円削減された。だが、補正予算案で千八百四十七億円が盛り込まれ、結果的に増額となっている。

 総務省が十八億円を要求した「ICT(情報通信技術)を活用した街づくり」事業は「普及の見込みが立てられない」と計上されなかったが、補正で十二億円が盛り込まれた。

 明らかに同じ内容と判断された八事業を合計すると三千六百億円を超えた。

 民主党の玉木雄一郎氏は四日の衆院予算委員会で「削減したと見せかけ、ゾンビのように予算が復活している」と批判。麻生太郎財務相は「有識者の指摘事項に対応した予算計上をした」と述べた。

 補正予算は以前から、本予算で削られた事業が敗者復活のように盛り込まれていると指摘されてきた。年度内に使い切れず、基金にして翌年度以降も使えるようにすることも多い。一三年度補正では、約五兆五千億円の五分の一を超える約一兆二千億円が基金になることが決まっている。

 明治大学公共政策大学院の田中秀明教授(経済政策)は「一三年度補正は、消費税増税による景気悪化を緩和する名目で、金額ありきで組まれた。補正は本予算に比べて制約が緩く、要求側もそれを狙う。財務省は、歳出増の政治的な圧力に弱いのが実態だ」と話した。

 

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