Clip to Evernote

 2012年のミス・インターナショナル世界大会で日本人初のグランプリに選ばれた吉松育美氏が12月16日、日本外国特派員協会で記者会見を行い、11日に自身のブログで公表した脅迫被害の実態について語った。

 吉松氏は、昨年のミス・インターナショナル世界大会で優勝した後、当時所属していた芸能事務所を辞め、自ら会社を立ち上げて独立した。その際、反社会的勢力とのつながりが取り沙汰されているある芸能事務所に移籍するよう「圧力」があったという。

 吉松氏は、「暴力団排除条例もありますので、倫理的にもその圧力を断りました」と、その芸能事務所への移籍を拒否。するとその直後から、大手芸能プロダクション・株式会社ケイ・ダッシュ幹部である谷口元一氏による嫌がらせと脅迫行為が始まったという。吉松氏は、今月11日、谷口氏を威力業務妨害罪で警視庁に刑事告発し、あわせて東京地裁に民事提訴した。

自殺した元TBSアナウンサーの名前を出し「同じことになるかもしれない」

 吉松氏によると、谷口氏は今年の6月13日、吉松氏の実家の電話番号を調べ、両親に対して脅迫電話をかけたという。その際、谷口氏は2008年に自殺した元TBSアナウンサーの川田亜子さんの名前を出し、「私が知っている川田という女性はマット(※吉松氏の海外エージェントであるマット・テイラー氏)に洗脳されて自殺しました。育美さんも同じことになるかもしれない」などと語ったという。

 これについて吉松氏は「『川田さんと同じような目にあうぞ』あるいは、『自殺に追い込まれてしまう状況にする』という脅迫のメッセージにしか聞こえませんでした」と報道陣に配布した資料に記している。

 他にも、吉松氏の自宅オフィスに不審者が現れ、部屋の中を覗き込まれたり、写真を撮られるといった被害にあったという。

ミス・インターナショナルからの出席拒否、谷口氏による圧力か

 吉松氏は、12月7日(土)から17日(火)の日程で行われている今年のミス・インターナショナル世界大会に出席し、前年度優勝者として、今年の優勝者に王冠を渡す予定だった。

 しかし吉松氏は、11月12日にミス・インターナショナルの本部である国際文化協会から呼び出され、「今年のミス・インターナショナルの世界大会は体調不良を理由に自粛してくれ」と告げられたという。これについて吉松氏は、谷口氏がミス・インターナショナルの協賛企業に圧力をかけたためだと指摘した。

 吉松氏はこの日の会見で、「ジェンダーギャップ指数」を引き合いに出し、日本における女性に対する人権意識の欠如を指摘。「女性が先進国でありながら、このような扱いを受けるのは、根底は日本の文化にある」と語った。「ジェンダーギャップ指数」によれば、日本は136カ国中で、昨年は101位。今年は105位と、先進国でも最低ランクの評価を受けている。

海外メディアが関心を持つ一方、大手マスコミは沈黙

 この日、会見に参加していたメディアは、海外メディアとネットメディアが中心で、日本の放送局は一社も姿を見せなかった。また、吉松氏のオフィシャルブログによると、今月13日に司法記者クラブで記者会見をし、多くのメディアが会見に参加しているようだが、16日現在、大手メディア発の記事は配信されていない。(IWJ・石川優)

※掲載期間終了後は、会員限定記事となります。

 
■日本外国特派員協会 関連記事

■関連記事