「餃子の王将」社長射殺　大東隆行氏、京都本社前で悪夢

大東社長が倒れているのが見つかった現場（共同通信社ヘリから）

　全国チェーン「餃子の王将」を展開する王将フードサービスの大東隆行社長（７２）が１９日午前７時ごろ、京都市山科区の本社前で、うつぶせで倒れているのが見つかった。拳銃で撃たれており、病院に運ばれたが、間もなく死亡が確認された。京都府警は周囲にトラブルがなかったかどうかも含めて捜査しており、容疑者逮捕に全力を挙げている。

　企業トップ射殺の凶行に、現場周辺は一時騒然となった。報道各社のヘリコプターが飛び交い「出歩かないで」と呼び掛ける警察官の姿も。現場は従業員用の駐車場で警備員はおらず、自由に出入りできるという。周辺に薬きょうが複数落ちており、自動式の拳銃で至近距離から大東社長を撃ったとみられる。京都府警捜査１課は殺人事件として山科署に捜査本部を設置。犯人は拳銃を持って逃走したとみられる。

　京都市消防局によると、大東社長は右胸１か所と左脇腹２か所の計３か所から出血。救急隊員が到着した際、意識不明で、従業員が人工呼吸していた。死因は検視の結果、心臓損傷による失血死とみられ、２０日の司法解剖で特定する。

　王将フードサービスの幹部や関係者によると、大東社長は気さくな人柄で知られ「気持ち的にも壁を設けず（会社を）気軽に訪ねてほしい」と、防犯カメラを設置していなかったという。毎朝、近くの自宅から自分で車を運転して出勤、本社前の掃除を日課にしていた。

　捜査１課は、大東社長の日課を把握した人物が待ち伏せした可能性があるとみている。一方、大東社長が持っていた財布や小銭入れは奪われておらず、中に現金が残されたままだった。捜査１課は、強盗目的ではなく大東社長や会社への恨みが背景にあるとみて、トラブルの有無についても調べる。また、本社前に午前５時４０～４５分ごろに到着したとみられる大東社長は、左ハンドルの車の左側約１メートルの位置で倒れており、運転席から降りたところを狙われたとみられるという。ドアは施錠されていた。わずかな時間に３発命中させて致命傷を負わせていることから、銃の扱いに慣れた者の計画的な犯行の可能性も浮上。午前５時半ごろ、従業員５人が出社し、すぐに外出したが、不審な点には気付かず。従業員が同６時ごろ社長に電話をかけたが、応答はなかった。

　１号店として知られる京都市中京区の餃子の王将四条大宮店で、持ち帰り用のギョーザを買った会社経営・竹川増晴さん（５７）は「銃で撃たれたということは、犯人は一般人ではないのでは」と不安な表情を見せた。

（2013年12月20日06時03分スポーツ報知）