【モスクワ=石川陽平】ロシアのプーチン大統領は19日、政権と対立し2003年に逮捕、服役中の元石油大手ユーコス社長、ミハイル・ホドルコフスキー氏(50)を恩赦する方針を表明した。「石油王」と呼ばれたホドルコフスキー氏の投獄は、プーチン政権による経済界への締め付けの象徴とみなされてきた。ソチ冬季五輪を控え、恩赦で人権面への配慮を示し、投資環境の改善を示す狙いがある。
プーチン大統領は19日の内外記者会見後、記者団に「ごく最近、ホドルコフスキー氏は(恩赦を求める)書簡を書いた」と指摘。刑期が既に10年以上に及び、母親が高齢になるなど人道的な理由から「近く恩赦の大統領令に署名する」と述べた。獄中から政権批判を続けていたホドルコフスキー氏は、これまで恩赦に必要な書簡を書くことを拒否していた。
シベリアで服役中のホドルコフスキー氏は既に、釈放後は政治活動はしないと言明。プーチン大統領は、11年末に始まった「反プーチン運動」を抑え込んで政権基盤を強化しつつあり、元石油王の恩赦がもはや政治的な脅威にはならないと判断したようだ。19日の恩赦の方針発表後、ロシアの代表的な株価指数は1%以上上がった。
1990年代のエリツィン政権時代から内政に強い影響力を持った新興財閥の総帥として知られるホドルコフスキー氏は03年に多額の脱税などの罪で逮捕、起訴された。ユーコス社の持ち株会社メナテップの幹部プラトン・レベジェフ氏とともに、05年に禁錮8年の実刑判決を受けた。10年に新たな裁判で刑期が延長され、14年夏にようやく刑期を終える予定だった。
ホドルコフスキー氏が逮捕された「ユーコス事件」の背景には、プーチン政権を批判し、野党に資金援助をした同氏の政治活動があったとされる。エリツィン政権時代に政治力を誇った数多くの新興財閥を抑え込みたいプーチン大統領が同氏の逮捕を指示したとの見方が広がり、ユーコス事件以降、ロシアのビジネス界は政権の要求に従順になった。
石油大手ユーコスはその後、解体され、主な資産を国営石油ロスネフチが取得。政権側にはホドルコフスキー氏が米メジャー(国際石油資本)にユーコスを売却するのを阻止する狙いもあったと指摘される。
ユーコス事件を機に、特に欧米諸国でロシアの所有権保護や司法の独立性への疑念が強まり、投資環境への強い懸念が広がっていた。ロシアから大量の投資資金が流出し続け、経済停滞を招く一因にもなっていた。
プーチン、ユーコス
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