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【グラニュース】


13年グランパス検証 ピクシー現象の果て<下> 真のプロクラブへの脱皮

2013年12月19日 紙面から

真のプロフェッショナルなクラブへ、期待がかかるグランパスの西野新監督

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 6月22日、豊田スタジアムで行われたクラブ初の説明会で、集まったサポーターは壇上の福島副社長に対し、次々に辛辣(しんらつ)な言葉を浴びせた。しかし、2時間近くに及ぶ質疑応答のなかで、ついにストイコビッチ監督の解任要求は出なかった。普通のクラブならフロントよりも先に監督の責任を問うのが筋。J2降格が現実的な状況となってもなお、ピクシー人気は健在だった。

 この偏愛ぶりが、クラブの甘やかしを招いた一因でもある。だからこそ今オフ、フロントは体制一新に踏み切った。ピクシーを支えた生え抜きの飯島コーチ、伊藤GKコーチだけでなく、現役時代から懇意だったトレーナーも退団。側近スタッフも異動になった。また、現役引退後はアドバイザリー契約を結び関係を保ったが、今回はそういった契約は一切ない。ストイコビッチ監督は「I will be back」と力強く第2次政権を見据えていたが、保証はどこにもない。

 一方の西野新監督は、久米GMとの強い結び付きがある。選手として日立で同じ釜の飯を食い、引退後は柏の監督と強化トップとしても共闘した35年来の仲だ。ただ01年に当時の久米強化本部長は西野監督を解任しており、わだかまりとなっていてもおかしくない過去がある。これについて西野新監督は「おまえは切った人、オレは切られた人。それ以上でもそれ以下でもない」と、ドライに久米GMに話したという。一見お友達人事のようにも映る監督選考だが、互いにプロとして私情を挟まない関係を保てれば、クラブの風通しは良くなるはずだ。

 ピクシー現象とも言えるこの6年間を経て、クラブに求められるのは、真のプロフェッショナルなクラブへの脱皮だ。自身を取り巻く人々に向けてピクシーは「われわれは家族」と強調した。しかし、サッカークラブは家族である必要はない。現場、フロント、サポーター、メディア…それぞれが共通の目標に向かいひとつになれればいい。なれ合いではない真の一体感が、グランパスを中心とした豊かなサッカー文化の醸成へとつながるはずだ。 (宮崎厚志)

 

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