視察後の会合に潜入取材!
オヤジの悪いところは真似しない―。そんな自らに課した信念を完遂するようなストイックな立ち居振る舞いは、酒席でもにじみ出ていた。
前述の南大東島視察の帰り、那覇空港で羽田行きに乗り継ぐ前に、進次郎を含む党青年局六人の一行は那覇市内の沖縄料理店に向かった。一見すると普通の居酒屋のようであるが、進次郎の伯母も寄ったことのある「政界御用達」として知られる名店である。
ラフテーやクーブイリチー、ドゥルワカシーなど響きだけでも沖縄に来た心地にさせてくれる一三品(二六二五円)が、奥座敷に運び込まれていく。店の女将からサービスで泡盛が振る舞われると一行の歓喜の声がガランとした店内に響いた。わたしが店内に入って、同じ料理を味見していても気にする素振りすらない。
大事な視察を締めくくる酒席である。六人のうち三人は、総選挙で初当選したばかりの一年生議員。だいぶ和んだ雰囲気で杯を交わしているようだが、奥座敷から漏れ聞こえてくるのは進次郎と、当選三回の衆院議員、中山泰秀の二人の掛け合いばかりだ。
「こういうメンバーで食事をするとそれぞれの地元に行ってみたいと思いますね」(進次郎)
「あー、いいですねえ」(中山)
「こんどは青年局ジャケット作っちゃいます? ここに世界の電通(中山は広告代理店の元社員)がいますから」(進次郎)
「いや、政界の電通です」(中山)
「気づいたら、ジャケットに英語で『アイ・ラブ・オオサカ』(中山のキャッチコピー)と入っていたりして」(進次郎)
懇意の二人の間でしか通じない「隠語」があったからか、新人にはあまりウケなかった。こんどは、進次郎は視察を振り返りながら、新人の一人、小林鷹之をいじりはじめた。
「南大東島の方、昼ごはんの時に、『年取ったら酒飲む時間が増える』と言っていたから『飲むのは泡盛ですか?』と聞いたら、泡盛じゃなくて焼酎なんですって!」
「ハハハ」
「いまごろ小林先生の地元・千葉県(の製糖工場)には南大東島から運ばれた砂糖が積み上がっている。小林先生は帰ったら、その砂糖を工場までちゃんと見に行って、『南大東島に行ってきた!』と報告しないと。今日はわれわれ青年局で工場に記念植樹までさせてもらったんだから」
「ハハハ」
コメントの投稿